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『TVKテレビの 「新車情報2000」を斬る!』
Vol.79 (2000/4/8) 毎週発行
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★4月3日放映
【99年新車情報大賞】
番組への投票総数は2210通だったそうです。たくさんの投票の結果、1999年度新車情報大賞は、トヨタ・ヴィッツでした。10位までの順位と得点は以下の通り。
1位:トヨタ・ヴィッツ
(プラス票323、マイナス票33、計290票)
2位:スバル・レガシィB4
(プラス票247、マイナス票10、計237票)
3位:ホンダ・S2000
(プラス票156、マイナス票59、計97票)
4位:トヨタ・ファンカーゴ
(プラス票142、マイナス票46、計96票)
5位:トヨタ・アルテッツァ
(プラス票136、マイナス票47、計89票)
6位:プジョー・206
(プラス票91、マイナス票3、計88票)
7位:マツダ・MPV
(プラス票97、マイナス票19、計78票)
8位:日産・セレナ
(プラス票54、マイナス票12、計42票)
9位:BMW・328Ii
(プラス票42、マイナス票10、計32票)
10位:VW・ニュービートル
(プラス票69、マイナス票38、計31票)
独自にメルマガ上で実施しました読者のみなさんによる投票結果は、
1位:スバル・レガシィB4
2位:トヨタ・ヴィッツ
3位:トヨタ・アルテッツァ
3位:トヨタ・MR-S
3位:日産・セレナ
3位:マツダ・プレマシー
3位:マツダ・MPV
3位:ローバー・ローバー75
4位:ホンダ・S2000
4位:スズキ・ワゴンR+(プラス)
4位:プジョー・206
4位:アルファロメオ・アルファ166
5位:トヨタ・クラウン
5位:日産・スカイラインGT-R
5位:日産・シルビア
以下省略。
投票数の関係で、順位のつけ方が変なのですがご了承ください。
番組では、1位がトヨタ・ヴィッツ、2位がスバル・レガシィB4。
独自のメルマガ投票では、1位がスバル・レガシィB4、2位がトヨタ・ヴィッツという結果で、やはりこの2台は予想通りでした。
ここでメルマガ投票でいただいた、ヴィッツを支持する声をご紹介します。
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日本の交通事情からすれば、このくらいのサイズが乗りやすい。いままで、このサイズの国産車は、安全性がなく個性もなく、「金ないのならこんなのでいいじゃん!」って
いう、ただ走るだけっていう感じでした。だから、高いお金払って輸入車買ってた。でも、この車の誕生で安くいい小型車が手に入れる事が出来るようになった。サスがだめ!なんていわれているが、普通に街中を走るのなら十分だと思う!でも、確かにポロ等のドイツの小型車と比べると、まだまだかな?
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やはりこのくらいのサイズが乗りやすいし、維持費も安く済みそうで車の新しい時代を切り開く一つの革命をおこさせてくれた車だと思う。1.0Lのエンジンで値段も低価格、しかもトヨタならではの斬新さを取り入れて安さを感じさせない出来となっている。
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コンパクト・カーの本場、欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞のことはあって、日本車にして初めて欧州車並のパッケージングを持つから。
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低価格、広々とした空間、センターメーター等の先進性、燃費の良さ、排ガス規制にマッチ。
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これからのクルマはできるだけ小さく(サイズ・燃費……)あるべき。それを定着させてしまうトヨタの実力はさすが。日本人には受け入れにくいかと思われたデザインでも、しっかり売ってしまう底力にも敬服。クルマとしても、よくできたパッケージングだと思う。
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価格・燃費・デザイン・総合的な車のコンセプトが時代にマッチしている。世界戦略車として充分世界の競合メーカと互角、もしくは以上の評価ができる唯一の小型車。
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マイナス票もありました。
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国内で販売している仕様と欧州に販売している仕様が違いすぎる。安くするかわりにこのぐらいでいい という自動車メーカーの体質が嫌い。少しぐらい高くても いいもの(この定義が難しいが)をつくり販売してください。なにか日本人はこんなところでいいだろう という感じがして馬鹿にされているように感じる。もし欧州と同じ仕様で販売されていたなら指示していたと思います。お客様の要望があったからではなく「うちの売りはここなんだ」という商売をしてほしい。
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ヴィッツの成功はそれだけにとどまらず、その後ヴィッツベースの小型車がぞくぞくと登場し大ヒットしています。番組投票では4位にランキングしたファンカーゴもその一つです。
今週からアシスタントは三清さんにかわり(この場では感情を交えず淡々と書いております)、TVKテレビの看板アナ野中美里さんが、ヴィッツの投票ハガキを読み上げていました。
1リッターでも十分な動力性能、軽自動車なみの価格、コンパクトでオシャレ、低燃費、地球にやさしいと思う、日本の道路事情にピッタリだ、サイズのわりに室内が広い、など。
野中さんも「経済性と価格にその理由がありそうですね」とのことです。さすが看板アナ、番組の進行がウマイです。
少ないマイナス票のハガキからは、エンジンがボディーのわりに非力、軽自動車として成立させてはどうか、デザイン的にはルノー・ルーテシアのほうがいい、など。
この結果を見て三本さんは「視聴者は、価格の高い立派なクルマを好印象に思わなくなってきたようだ」との感想です。
そして「新し物好きかと思えば、意外と保守的な一面もある」とのこと。また傾向としては、安全性はもとより、経済性・環境問題を重視するようだとコメントしていました。
それでは99年新車情報大賞、11位以下を列記します。
11位:ローバー・ローバー75
(プラス票34、マイナス票4、計30票)
12位:マツダ・プレマシー
(プラス票33、マイナス票4、計29票)
13位:日産・シルビア
(プラス票38、マイナス票15、計23票)
14位:ホンダ・バモス
(プラス票30、マイナス票11、計19票)
15位:アルファロメオ・アルファ166
(プラス票21、マイナス票4、計17票)
16位:ルノー・ルーテシア
(プラス票17、マイナス票1、計16票)
17位:日産・セドリック/グロリア
(プラス票17、マイナス票60、計11票)
18位:ジャガー・Sタイプ
(プラス票29、マイナス票19、計10票)
19位:VW・ボーラ
(プラス票12、マイナス票3、計9票)
20位:ダイハツ・アトレー
(プラス票13、マイナス票6、計7票)
21位:ボルボ・S80
(プラス票13、マイナス票8、計5票)
22位:サーブ・9-5エステート
(プラス票8、マイナス票3、計5票)
23位:マツダ・ボンゴフレンディAFT
(プラス票14、マイナス票10、計4票)
24位:トヨタ・クラウン
(プラス票107、マイナス票104、計3票)
24位:ホンダ・アコードワゴンSiR
(プラス票10、マイナス票7、計3票)
26位:スズキ・ワゴンR+(プラス)
(プラス票28、マイナス票26、計2票)
27位:VW・ゴルフカブリオレ
(プラス票1、マイナス票1、計0票)
28位:ランドローバー・ディスカバリー
(プラス票10、マイナス票16、計-6票)
29位:三菱・タウンボックス
(プラス票2、マイナス票10、計-8票)
30位:マツダ・ボンゴバン
(プラス票4、マイナス票13、計-9票)
31位:日産・セフィーロ
(プラス票21、マイナス票32、計-11票)
32位:三菱・ミラージュディンゴ
(プラス票19、マイナス票31、計-12票)
33位:ホンダ・アヴァンシア
(プラス票15、マイナス票33、計-18票)
34位:ホンダ・インスパイア/セイバー
(プラス票4、マイナス票26、計-22票)
35位:クライスラー・ジープグランドチェロキー
(プラス票4、マイナス票28、計-24票)
36位:トヨタ・MR-S
(プラス票23、マイナス票48、計-25票)
37位:日産・テラノ
(プラス票7、マイナス票36、計-29票)
38位:日産・ティーノ
(プラス票16、マイナス票50、計-34票)
39位:ホンダ・インサイト
(プラス票62、マイナス票101、計-39票)
40位:日産・ウイングロード
(プラス票7、マイナス票49、計-42票)
41位:日産・スカイラインGTR
(プラス票97、マイナス票146、計-49票)
42位:ホンダ・ラグレイト
(プラス票30、マイナス票97、計-67票)
43位:フォードka
(プラス票12、マイナス票81、計-69票)
44位:三菱・パジェロ
(プラス票24、マイナス票117、計-93票)
45位:トヨタ・セリカ
(プラス票17、マイナス票112、計-95票)
さて、人気(好印象)のクルマが時代と共にどのように変化してきたのか、番組で行われた新車情報大賞で、大賞を受賞したクルマたち過去10年を振り返りますと、
89年:日産・スカイラインGTR
90年:日産・プリメーラ
91年:ホンダ・シビックフェリオ
92年:日産・マーチ
93年:スズキ・ワゴンR
94年:ホンダ・オデッセイ
95年:三菱・パジェロミニ
96年:三菱・ギャラン
97年:トヨタ・プリウス
98年:アルファロメオ・アルファ156
89年の受賞車で衝撃的だった公道の怪物、バブルの申し子、スカイラインGTR。今回のGTRは、プラス票97、マイナス票146で45台中41位。でもあのゴーン氏はGTRが一番お気に入りだとか。
ハイパワーな高性能車への憧れやこだわりは、いつの時代もあると思います。しかし誰もが憧れる時代ではなくなったようです。
歴代の受賞車の中で、三本さんが印象的だったと言ったのは、トヨタ・プリウス。プライベートでも1年半所有され、3万キロ乗ったそうです。そしてその間、大きなトラブルもなく、いいクルマだったとのことです。
99年注目のハイブリッド車、ホンダ・インサイトは、プラス票62、マイナス票101で39位とイマイチでした。この101票の「理由」が見たいものです。
メルマガ投票でもインサイトは、マイナス票がプラス票を上回り、順位を下げていました。やはり3リッターカーというスペックよりも、クルマとして非現実的な仕様に問題があったのかもしれません。
メーカーが技術だけをアピールするためのクルマ、という印象が強かったです。優秀なスペックであっても、ユーザーを無視したクルマづくりは受け入れられないんですね。
前評判の高かったホンダ・S2000は3位。三本さん的には好印象だったようで、「もっと支持されていいと思う」とのこと。3位は十分支持された結果だと思いますが。。
マツダ・MPVも、もっと順位が高くてもおかしくない、とフォローが入りました。三本さんのフォローにお世辞はありません。
この投票は順位より得票の内訳がおもしろいです。たとえば24位トヨタ・クラウン。プラス票は107も得票しながら批判票は104と、今の時代を象徴するような内訳です。
31位の日産・セフィーロ。三本さん絶賛の新開発V6エンジンを搭載し、静かですばらしいクルマにもかかわらず、三本さんも「意外だ」とのこと。
トヨタのミッドシップオープン、MR-S。36位と低位置です。「個性的で楽しい。しかも安いのに」と三本さん。この辺りで視聴者は保守的?と思ったのかもしれません。
三菱の屋台骨を支えてきた看板商品、三菱・パジェロは、44位と最下位から2番め。117票の批判票にはどんな理由が書かれているのでしょうか。
そして番組投票、メルマガ投票共に最下位だったトヨタ・セリカ。4WDのGT-Fourをあっさり捨てた節操の無さ。単なるラブ・マシーン(デート・カー)になり下がリ、人に何と説明していいかわからないコンセプト。いままでのファンには受け入れ難いデザイン。
ファンからすれば、栄光の軌跡に泥を塗ったように映ったのかもしれません。いいクルマだったからこそ、手厳しい評価が出るのかもしれません。しかし割り切ったことで、価格をおさえた点は評価すべきだと思います。
最後に、技術立国日本の、昨今のクルマ事情について。「12の国内メーカーのうち、民族資本のままは2メーカー(トヨタ、ホンダ)だけだ。昔はこんなふうになるとは思ってもいなかった」と三本さんお嘆きです。
そして「クルマにかかる税金は、種類が多すぎる!高すぎる!」と怒りのサンドバックが炸裂します。
「その税金で、日本一高い給与だといわれる銀行を救い、一方で自動車メーカーが傾きかけるとリストラしろ、合理化しろなどという。日本は技術で食っているようなもの。その技術を生み出している企業や人を、国がサポートしなくてどうする!!」
三本さんの大きな顔がどんどんアップになっていき、我が家の29インチ画面いっぱいに怒りが炸裂していました。
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