TVKテレビの新車情報を斬る!

三本さんと三清さんの新車情報が大好きで長年メルマガを発行していた筆者のブログ

日産・ティーノハイブリッド Vol.84 (2000/5/11)

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TVKテレビの 「新車情報2000」を斬る!』
         Vol.84 (2000/5/11) 毎週発行
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★5月8日放映
【日産・ティーノハイブリッド】

「技術の日産」からも、やっとハイブリッドが登場。既に出ているクルマとくらべて、どんな違いや優れた点があるのでしょうか。

ティーノハイブリッドのオフィシャル・ページはこちら
http://www.nissan.co.jp/TINO/HYBRID/
をご覧ください。

トヨタ・プリウスのようにガソリンエンジンと交流電動機モーターの組み合わせで、エンジンの基本スペックは、1.8リッター、直列4気筒DOHC、101ps、トルクは14.4Kg。

モーターは交流同期電動機、最大出力17Kw、トルクは15.8Kg。

燃費は10・15モードで23Km/Lと公表されています。気になる価格は315万円です。

三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、同じ23Km/Lでした。時速100Km走行時の騒音は65dBでした。

NEO HYBRIDと呼ぶティーノのシステムは、走行用の大きなモーターAと、小さなモーターBが存在し、チャージ(充電)する場合のモーターはフェーズによって使い分けられます。

大まかなフェーズは以下の通り。
1、スタート時はモーターAだけで発進。
2、加速時はモーターAとエンジンを併用。
3、通常走行時はエンジンだけで走行しモーターBで充電。
4、減速時はモーターAで充電。

だから時速100Km走行時の騒音測定は、エンジンだけが駆動している状態だったと思われます。

ティーノはプリウスに近いタイプのようです。ホンダ・インサイトの場合は、エンジンはずっとかかったままでした。

日産の人は「使ってよろこんでもらえる実用的なクルマを目指した」と言っていました。ねらいは、燃費を同クラスのガソリン車の2倍以上にすること。CO2の排出を1/2以下とすること。軽量でコンパクトなリチウムイオンバッテリーを使用し、大人5人ゆったり乗れる室内空間と十分なラゲージスペースを確保すること。

リチウムイオンバッテリーは後席の足元付近にあって、ガソリン仕様よりも床が5センチほど高くなっています。それに伴いシート座面も高くなっているそうです。あとは普通のティーノとほとんど同じ。

高速道路で一定走行しているときは、エンジンだけで走行していました。そこから踏み込んで加速しようとすると、モーターが駆動。中央にあるモニターで走行中のシステムの状況を確認できます。

「重さが増した分、重厚感がある」そうで、「それでいて特別ハンドリングが悪いわけでもない」」とのこと。「違和感は感じない。鋭敏な感じではないが、このオットリ感も悪くない」と言っていました。

車両重量は1500kg。ガソリン仕様にくらべ、ハイブリッドシステム全体で、たった120kgの重量増とのことです。リチウムイオンバッテリーそのものは40kg。これはかなり軽量のようです。それでも携帯電話何個分に相当するのでしょう。

省エネタイヤのせいでしょうか「タイヤのグリップ感が少ないようだ」とのこと。三本さんは小さ目なタイヤのサイズを指摘すると同時に、「ハイブリッドとしてはガラが大きすぎるのではないか」とツッコんでいました。1.8リッターのエンジンや、3ナンバーサイスのボディーは、燃費を追究するハイブリッド車の仕様として不釣り合いかもしれません。

そして、「直噴のリーンバーンを使ったらもっとよかったのではないか」とツッコむと、日産の人は「リーンで効果の出る領域は、アイドルや時速40キロくらいの低負荷時であり、今回はエンジンの役割分担としてそれに適さなかった」とのことでした。

中央のモニターに、葉っぱの形をしたエコマークが点灯します。エコエコ運転をすればするほど、緑の葉っぱがたくさん点灯します。

山坂道の登り勾配での発進の場合、最初は通常通りモーターで発進しますが、すぐにエンジン併用になるようです。

先ほど三本さんは「ハイブリッド車としてデカすぎると」言ってたわけですが、エンジンが大きいせいか山坂道など負荷の多い場面でも「力強い印象がある」コメントしていました。

以前、三本さんはプリウスを所有しており、2万キロ少々乗ったそうですが、明らかにティーノのほうがパワフルな印象を持ったようです。

また、「ハイブリッドシステムの切換えが大変スムーズで、体感ではわからない」と感心していました。このあたり後発として違和感のない出来になっているようです。また、無断変速機ハイパーCVTによりスムーズ感をさらに増しているようです。

安全性についても十分配慮してあるとのこと。バッテリーは床下にありますが、防水対策と同時に衝突事故に耐えうる丈夫なカバーでガードしているそうです。

しかし事故って、リチウムイオンバッテリーをそっくり交換なんて話になったとき、一体いくらかかるのでしょう。

モーターもエンジンのように熱を発生しますので、水冷で冷却しているそうです。

ガソリンも節約しますが、大事な電気も極力節約します。テールランプは消費電力が少ないLEDを採用。ふつうのバルブよりも1/10の消費電力で済むそうです。しかし、片側だけでも赤いLEDが21個も並び、決して安いシロモノではありません。

クルマ自体ががんばって節電しているのに、ハイパワーのステレオアンプなんか後付けしたら怒られそうです。シガーライターのソケットに意味不明な照明を差すのもやめたほうがいいかも。。

燃料タンクの容量は50リッター。満タンでの航続距離は700~1000キロだそうです。前から疑問だったのですが、燃料がカラになった場合、モーターだけで走ることができるのでしょうか?

さて、三本さんは、大きなボディサイズやエンジンの排気量からエコカーらしくないといった発言をしていましたが、逆の考え方もアリかもしれないと思いました。

ハイブリッドだからと、いかにもエコカーっぽいというのもつまらないです。電気自動車でもそうですが、ありきたりのクルマをハイブリッド化して省エネだけに特化するより、ハイブリッド車だからこそ楽しい付加価値を付けることで魅力あるクルマになるのかもしれません。

ハイブリッドを全面にアピールするより、イケてるクルマがたまたまハイブリッドだったというコンセプトでないと、やはり受け入れられないのではないでしょうか。ティーはそういう方向へ多少振っているのではないかと思いました。

またエコに特化するにしても、エコカーを選択した見返りとして経済性だけなく、何か社会的インセンティブがもっとあればいいと思います。やはりどう考えてもクルマでエコすることはイコール、経済負担が大きいことではないでしょうか。いくら燃料費が節約できても、クルマ自体の価格や維持費は高いでしょうから。

それにしてもリチウムイオンバッテリーの小型軽量には驚きます。これからもどんどん小さく高性能になっていくのなら、なにもハイブリッドにしなくても、エンジンはいらなくなるのではないかと思ってしまいます。

★次週の予定
トヨタ・プロナード