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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.132 (2001/4/11) 毎週発行
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★4月9日放映
【時代を駆ける名車~ホンダ・シビック~】
失敗の連続から生まれたという庶民のクルマ、シビック。ホンダにとっても本格的な4輪メーカーへと成長するきっかけのクルマでもありました。
スタジオにはモータージャーナリスト界の重鎮、番組ではお馴染み星島浩さん、そしてホンダからは初代シビックの開発責任者と、当時のデザイン責任者の方がスタジオへ招かれていました。
ホンダのオフィシャル・サイトに「ホンダ・ヒストリー」というページがあり、ホンダ車の歴史を見ることができます。
http://www.honda.co.jp/history/
○初代/1972年
FRセダン主流の時代に、FF横置きエンジン、2BOXという独特なスタイルで、日本市場をはじめとして世界のマーケットに新風を巻き起こした初代。
今、40代後半以降の年代の方々には忘れることのできないクルマだったようです。
初代で特記すべきことは、1973年、世界でもっとも厳しかったアメリカの排出ガス規制「マスキー法」を世界ではじめてクリアした低公害CVCCエンジンの開発。走りのホンダは、エコカーの元祖でもありました。
シビックが登場した翌年の1973年に第一次オイルショックがあり、「まるで予想したかのようなタイミングで登場したシビックが印象的だった」と当時を振り返る星島さん。
その年1973年に、ホンダ独自のオートマ「ホンダマチック」をシリーズ全車にオプション設定。小型車ではめずらしかったようです。
今回の放送では、栃木県の「ツインリンクもてぎ」にあるホンダ・コレクション・ホールにて、初代と2代目シビックを30年ぶりに三本さんが試乗。
三本さんも初代を所有されていたそうです。「とてもなつかしい。昔の恋人に会ったみたいだ」と感慨深げ。
昔の人は皆カラダが小さかったのでしょうか、それとも三本さんがデカすぎるのか、シートから背中がハミチン。ヘッドレストは三本さんの背骨を支えています。
スペックは直列4気筒、OHC、1.2リッター、60ps、トルクは9.5kg。4速MT。
全長3405、全幅1505、全高1325、625kg。価格は54.5万円。
「初代をかなり長く所有したが、今、こうして乗ってみると不備な点が目立つなあ」と三本さん。
ホイールハウスの張り出しが大きく、足元が狭い。そのためペダル類が中央に寄っており、実に踏みづらいとのこと。
ハンドルが大き目でリムが細くヤワな印象。時代を感じさせます。そして操舵のフィーリングが左右で異なる、といっていました。右と左で違うなんて恐い気もするが・・
三本さんが試乗した博物館の初代は、タイヤも当時と同じものが付いており、タイヤ一つとっても現在のクルマとはかけ離れたコーナリング性能の様子。しかし当時は三本さんをすごくFunにさせたクルマらしい。
インパネになんと木目調パネル。庶民のクルマにしては斬新だったのでは。それともこの頃は普通だったのかな。
○2代目/1979年
通称スーパーシビック。エクステリアはキープコンセプト。使い勝手と機能のレベルアップを図り、市場を確立。
2代目も博物館のクルマを試乗します。
スペックは直列4気筒、OHC、1.5リッター、85ps、トルクは12.3kg。5速MT。
全長3870、全幅1580、全高1350、780kg。価格は95.7万円。
CVCCエンジンは洗練され、完成度が高くなります。マスキー法をクリアするため徹底的に行った研究とその成果が、小型エンジンの軽量化、高効率化に結びつき、その後VTECへと進化します。
集中ターゲットメーターは(と呼ぶらしい)、スピードメーターの中にタコメーターを配置した斬新なレイアウト。限られたスペースで十分な視認性を確保。これは三本さんがホンダに提案したとか。
○3代目/1983年
通称ワンダーシビック。斬新なスタイル&コンセプトで大ヒット。「マン・マキシマム、メカ・ミニマム」つまり人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に、という今につながるMM思想を提案。
ワンダーシビックからは、当時放送された新車情報のVTRが出ました。渡哲也のマユ毛を濃くしたようなスリムな三本さん(ホメすぎか)
スペックは直列4気筒CVCC、OHC、1.5リッター、100ps、トルクは13.2kg。5速MT。
全長3810、全幅1630、全高1340、815kg。価格は123.7万円。
3ドアのハッチバック、4ドアのセダン、そして21世紀を予見していたかのようなユーティリティー・ビークル、5ドアのシビック・シャトルをラインナップ。
84年11月には1.6リッター16バルプDOHCエンジンが登場し、またシリーズ初の4輪駆動車「シャトル4WD」も登場。
ナイスガイ三本さんは高速道路で「誠によくまわるエンジンだ」といいながら5速から3速へ落として急加速。「きもちがいい加速が味わえる」とコメント。
山坂道では今よりもかなり飛ばしてマス。「しっかりした足まわり」「元気よく走る」と絶賛。しかし「ハンドルが重すぎる」とツッコミも忘れません。
同じ1983年に、シビックから派生した「バラードスポーツCR-X」が誕生します。いわゆるFFライト・ウェイト・スポーツの先駈けでした。
○4代目/1987年
通称グランドシビック。クラス初4輪ダブルウィッシュボーン・サスペンションの採用。快適な乗り心地とスポーティな走りを両立。
当時の試乗車は3ドア25X。スペックは直列4気筒SOHC、1.5リッター、105ps、トルクは13.2kg。5速MT。
代表グレードのSiは、D0HC、1.6リッター、130ps、トルクは14.7kgを発生。
全長3965、全幅1630、全高1335、900kg。Siは143万円。
高速道路では「粘っこさというか、重量感が増したようだ」とその乗り味を表現していました。
1989年にはVTECエンジン搭載車がデピュー。
4代目シビックとともに、バラードスポーツCR-Xも「サイバーCR-X」と名前を変えて登場。
また1992年3月に「CR-Xデルソル」というタルガトップ・モデルが登場。私も、友人のデルソルの助手席に乗ったことがあります。なかなかFunなクルマでしたが、男同士はいけませんズリ。
○5代目/1991年
通称スポーツシビック。時代をリードする行動的でスポーティな若者?をターゲットとして開発。
当時の試乗車は3ドアVTi。スペックは直列4気筒VTEC、SOHC、1.5リッター、130ps、トルクは14.1kg。5速MT。
代表グレードのSiRは、D0HC、1.6リッター、170ps、トルクは16.0kgを発生。
全長4070、全幅1695、全高1350、1050kg。SiRは162万円。
小型車枠いっぱいまで拡大されたボディ。室内空間はずいぶん広くなりました。
前代からの4輪タブルウィッシュボーン・サスペンションはストロークが増大し、乗り味は更にマイルドに。
4ドアはモデルでは「フェリオ」という新たなネーミングが付きます。
○6代目/1995年
通称ミラクルシビック。「身近な高性能」をテーマに、3ステージVTECと、ホンダ・マルチマチックの組み合わせで新しい走りを創造。
当時の試乗車は3ドアVTiホンダ・マルチマチック。スペックは直列4気筒3ステージVTEC、SOHC、1.5リッター、130ps、トルクは14.2kg。
全長4180、全幅1695、全高1375、1080kg。価格は149.9万円。
同時期にtypeRが登場。185psを発生する1.6リッターエンジンを搭載。走りにこだわる高性能を追求したスパルタンなモデル。
○7代目/2000年
現行型。スマートをコンセプトに、体感的満足と知的満足を高い次元で両立させた、新世紀シビック。
初代のシビックで三本さんは「東京から城之崎までノン・ストップで走ったよ」と言ってました。たぶん兵庫県の城之崎温泉だと思われます。クルマもすごかったけど、三本さんの体力もすごかったと思う。
初代を開発したホンダの人は、「既にあるクルマを基準にしなかった。自分達が乗れるクルマ、それがシビックの基本発想だった」と振り返ります。
また開発に際して「本田宗一郎社長は、若いやつに任せると言って口出しをしなかった」といいます。
星島さんは「大きなクルマをスケールダウンしたような小型車が多かった中で、シビックは一貫してスジが通っていたような気がする」といいます。
このようにシビックの歴史を振り返ると、昨年登場した7代目シビックのモデルチェンジは、大きな変化だったことを改めて感じさせます。
新しいシビックの歴史が、今世紀からまたはじまったのかもしれません。
今週の妄想はバックナンバーVOL108、「ホンダ・シビック」の中から引用します。
(妄想)三清さんと、横浜の街をめぐる楽しいデート。そんなときシビックはベストチョイスです。
いろんなスポットで遊ぶからすぐに駐車したり、乗ったり降りたりします。そういうことがスムーズに出来ると、デートもさらに楽しくなる。
そして夕暮れ。埠頭から眺めるライトアップされたベイブリッジ。シビックなら、なんとか助手席の三清さんに寄り添うことも可能。でも半ケツずれてかなりキツイ姿勢。
「場所をかえて、いつまでもベイブリッジを眺めようか」全室オーシャンビューの横浜プリンスホテルへ向かうとき、リーンバーン走行状態を示すエコランプは一度も点燈しませんでした。
★次週の予定
オペル・ヴィータ