TVKテレビの新車情報を斬る!

三本さんと三清さんの新車情報が大好きで長年メルマガを発行していた筆者のブログ

トヨタ・ソアラ Vol.139 (2001/6/5)

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 『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
         Vol.139 (2001/6/5) 毎週発行
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★5月28日放映
トヨタソアラ

「未体験ゾーンへ」。1981年に誕生した初代ソアラフレーズを、今でも鮮明に覚えています。2代目はさらに洗練されて、1986年にデビュー。バブル景気とオールナイト・フジに代表される女子大生たちの圧倒的支持をうけ、デートカーの頂点へ。

その当時、私はクルマとGALが大好きな勤勉学生でした。第三京浜で某厚木キャンパスの女子大生を乗せたソアラが、私の愛車「カローラ1300DX」を嘲笑うかのように追い抜いていく。この逆境こそが、妄想パワーの原点です。

オフィシャル・ページはこちら
http://www.toyota.co.jp/Showroom/All_toyota_lineup/Soarer/index.html

基本スペックは、V8、DOHC、4.3リッター、280ps、トルクは43.8kg。燃費は10・15モードで8.5km/Lと公表されています。国土交通省の排ガス認定は☆☆☆。価格は600万円。

三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、7.6km/Lでした。時速100km走行時の騒音は65dBでした(屋根クローズ時)。

全長4515、全幅1825、全高1355、重量1730kg。

10年ぶりのフルモデルチェンジで4代目。21世紀のラグジュアリー・クーペとはいかなるものか、という視点でこれまで築いた「ソアラの概念」を一旦リセット。

計画当初からコンバーチブルを想定。チョー美しいスタイルに、チョー最高の動力性能を持たせる。

コンセプトは「ジュエル・オブ・プレステージ・コンバーチブル」。ジュエルとは宝石。新型ソアラは、「宝石のように人々を魅了するクルマ」を目指して登場しました。

三本さんは「宝石のようなクルマに、路傍(ろぼう)の石のような私が試乗しました」と一言。でも三本さんに似合っていると思いました。

注目はメタルトップ・コンバーチブル。電動で開閉するアルミ製の屋根。8個のモーターと14個のセンサーで正確かつ確実に作動。こういったワザは日本人の得意とするところ。

屋根がクローズした状態の高速走行。三本さんの感想は「静かでスムーズだ」。

「すごくパワフル」なエンジンは、セルシオに搭載されているトヨタの量産エンジン最高峰であるV8ユニット。5速ATとの組み合せで、その動力性能に不満があろうハズがありません。

時速100キロ時のエンジン回転数は約2000。「2500くらいまわっている状態のほうが安心感がある。このクルマはアメリカやヨーロッパのアウトバーン向きだ」。

他の試乗記を浮気見すると、3000以下は比較的トルクが薄いようです。日本の法定速度よりもずっと上に、このエンジンのポテンシャルがある模様。

箱根の山坂道にて待望のオープンエア・インプレッション。「オープンにしたほうが静かに感じた。聞こえた音といったら鳥の鳴き声だけ。(そんな状態でのクルーズは)オープンのよさをつくづく感じた」。

三本さんのヘアスタイルが風で乱れることはありませんでした。トヨタの人は、「オープンカーの常識を過去のものにする」と語っていましたが、まさに極上のコンバーチブルに仕上がっている様子。

速度感応式のステアリングは高速道路では重めで、山坂道では適度な操舵感。

庶民派の三本さんが「贅沢なクルマはイイもんだ。何も言うことはない」とつぶやきます。

明るいウッドパネルや本革のシート。左右別々に調整できるエアコン。助手席は最高のファーストシートです。

後部座席はオマケ。大人は実質座れません。アメリカでは4人乗りになっているほうが保険などで有利だとか。

ターゲット国の事情は別にしても、2シーターより+2のほうが使い勝手がいいと思います。このクルマはオープンにすると屋根がトランク内へ収納されるので、トランクがまともに使えません。後部座席は本革の手荷物置き場。

贅沢な内装は質感や見た目だけにとどまらず、音にもこだわっています。マークレビンソンのソアラ専用プレミアムサウンドシステム。

エストラインが高く、窓が小さい。「(屋根がある状態だと)狭い印象。こりゃ窓から顔出すのも大変ですよ」。

トヨタの人は「オープンでは適度な包まれ感が必要だと考えており、ウエストラインを高くした。ウエストラインが高いと風の巻き込み防止など、空気の流れでも有利になる」とのこと。

丸みをおびた官能的なシルエット。女性的かもしれません。ジャガーXK8コンバーチブル」が新型ソアラのベンチマーク。

ヨーロッパの女性はベンツでもBMWでもなく、ジャガーこそ「セクシー」なクルマだと思っているそうです。

ソアラも女性を魅了するようなクルマにしたかった」とトヨタの人。このエクステリア誕生にはそんな背景があるようです。

三本さんは今回めずらしく指摘しませんでしたが、バンパーが無いと同然のデザイン。しかも一番コスリそうな位置にウインカーランプがあって気を遣いそう。

フロントグリルなどに付くソアラの紋章「フライング・ライオン」は、国内仕様に継承されました。輸出車にはレクサスの「L」が付きます。国内でも「L」のほうがイイ、という人がいるかも。選べるのでしょうか?

今回もう一つ話題なのが、ランフラットタイヤの採用。ランフラットタイヤとは、万が一パンクしても自走できるタイヤのこと。これによりスペアを積む必要がなく、ラゲージを有効に使えます。

スペアタイヤの置き場所に苦労しているメーカー。次世代ミニバンなど斬新なパッケージングの際も、かなりジャマな存在。

また、年間何万本?ものタイヤが使われないまま捨てられているわけで、スペアを持たないことは環境面でもいいことです。

サイドウォールを補強することで空気が抜けても自走能力を持たせ、その性能は時速90キロ以下で約160kmの走行が可能。

三本さんは「サイドウォールを補強している分、少しゴツツキ感が出る」と言っていました。

ランフラットタイヤはオプション設定ですが、これは迷わず選んだほうがよさそう。スペアタイヤを積むと狭いトランクがさらに狭くなり、荷物はほとんど積めなくなります。

でも将来タイヤ交換をする際、銘柄の制約を受けたり、コストが高くつくかもしれません。また現時点では自分の好きなタイヤに交換できないというデメリットも。

先代までのソアラは国内専用車でしたが、新型は180度ターゲットが変わり、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、アジアの一部へも輸出されます。

生産はすべて日本国内。約1000台/月。その8割がアメリカへ。

ソアラはもはや、見栄で学生が憧れるようなクルマではなくなりました。成功して早々に引退し、西海岸にて優雅な余生を楽しむリッチな老夫婦。そんなシチュエーション向きのラグジュアリー・クーペのようです。

三本さんに「引退しろ」とは申しませんが、三本さんのような方にこそ乗ってもらいたい。日本でもソアラのシートにふさわしいオジサンが増えるべき。今の日本に必要なことは、そういうことかもしれません。

(妄想)イケイケ学生時代だったら、イケイケ女子大生のマブイ※三清さんを乗せて、都内をオープンクルーズしたかもしれない。※マブイ:まぶしいくらいイケている様。

またはビッチリ渋滞した湘南の134号線を、マークレビンソンを轟かせながらブーメラン※姿で三清さんと日焼けを楽しんだかもしれない。※ブーメラン:ビキニな海パン

でもこの歳になると、いくら妄想でもブーメランは無理があります。アダルティな2人には、箱根の静けさが似合う。

箱根に着いてからオープンエアにする。心地いい風が私と三清さんをつつむ。聞こえるのは鳥のさえずり。

まるで雲に乗って空を飛んでいるかのようでした。それは今まで経験したことがなかった未体験ゾーン。もっともっと体験したい!三清さんとブッ飛びたい!

しかし、こういうクルマを2人占めしていいのだろうか。新型ソアラを所有した人は、まわりの人まで楽しませる義務があるのかもしれません。真の高級車とは、そういうクルマです。

★次週の予定
日産・キャラバン