TVKテレビの新車情報を斬る!

三本さんと三清さんの新車情報が大好きで長年メルマガを発行していた筆者のブログ

ジャガー・タイプX Vol.156 (2001/9/28)

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TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
         Vol.156 (2001/9/28) 毎週発行
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★9月24日放映
ジャガー・タイプX】

JAGUAR。英国のクラフトマンシップを伝える芸術品であり、クルマを超えた価値観を享受することができる限られた人達だけのブランド。一般ピープルには縁がないクルマの代表格でした。しかしフォードグループの一員になってからは、数とコストを意識する戦略へと変化。そして今回、400万円台の激安?ジャガーが登場です。

オフィシャルサイトは
http://www.jaguarcars.com/jp/

基本スペックは、V6、DOHC、2.5リッター、198ps、トルクは24.9kg。5速AT。フルタイム4WD。燃費は10・15モードで7.9km/L。価格はSEグレードで475万円。

三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、8.0km/Lでした。10・15モードよりいい結果。時速100km走行時の騒音は67dBでした。

全長4685、全幅1790、全高1420、重量1620kg。最小回転半径5.3m。

エンジンは2.5リッターと3リッターいずれもV6の2本立て。2.5リッターでは3グレードが用意され、今回取り上げているSEのほかにスポーツというグレードが455万円。最も安いのが425万円。3リッターではSEグレードのみで525万円。意外とバリエーション豊富で選択肢が広い。

ジャガージャパンのイギリス人社長自ら番組に出演して、日本語で以下のようにアピールしました。

「タイプXはジャガー初のコンパクト・スポーツセダンである。その目的は、成長著しくまた競争の激しいこのセグメントで、新しくかつ強力な選択肢をご提供すること、そしてジャガーおける新世代顧客の獲得である。また、タイプXはジャガーの生産台数で約5割を占めるべく、ボリュームリーダーとしても位置づけている」とのこと。

この発言からタイプXが単なるジャガーのエントリーカーではなく、最も流通するジャガー、つまり「顔」にするということか。

横置きエンジン、フルタイム4WD。今までのジャガーになかった新レイアウト。タイプXのベースはグループの親会社、フォードのモンデオ

「プラットフォームはモンデオですよね」という三本さんに社長は、「プラットフォームの定義は難しい。まるでモンデオの台車の上にジャガーのボディを載せたような言い方をする人がいるが、まったく違う」とタイプX=モンデオといった論評を牽制します。

「共通化されたプラットフォームとは、統一化されたシステムのことである。モンデオはフォードで開発され、ジャガーはジャガーで開発している。別々のチームが統一化されたシステムの中で開発する過程において、両者で区別する必要がない機能は共通化している。たとえばワイパーモーターはその機能を満たせばいいわけであり、そういったものは共通化している」と社長。

フォードのエンジンをパクッてると言われていますが、これについても同様。社長は「確かにブロックはフォード製のものを使っているが、ヘッドからエンジン・マネジメントまでジャガー開発。ジャガーらしいエンジンとは、ジャガーのために作らなければならない。それができなければフォードのベースは使わなかった」とのこと。

ジャガーの「味」に関係ない部分、ユーザーの目に見えない部分はオリジナルでなくてもいいという考え方。それ以外はあくまでジャガーオリジナルである。だからタイプXはジャガーそのものである、と主張します。

すでにヨーロッパでプロトタイプを試乗ずみの三本さん。「フォード製とは思えないエンジンだ。3000回転で最大トルクを発生する低中速重視のユニットはたいへん扱いやすい。」と感心。フォードのエンジンをそのままではないことは、先の社長のお話の通り。

「自動車は四輪が駆動すべき」という持論の三本さん。ジャガー初の4WDを、「直進安定性がいい。よく出来た4WDだ」と評価。

山坂道では、「ジャガーのスムーズ感は出ているが、やはり今までのジャガーとはカテゴリー自体が違う」とのこと。この発言はどういう意味か?ジャガーらしくないということか。

ステアリングはダイレクト感があるスポーティな印象。お決まりJ型のATセレクタレバーは、機能的で扱いやすいとのこと。

ジャガーらしい内装。仕立てのいい革シート。本物の機能を追求することが革シートを採用する本来の価値観なのかも。「牛の革の品質管理は大変難しい。タイプXのシートもこれまで通りジャガーの厳しい品質管理の中からご提供している」と社長。

クラシックな文字のインパネのメータ。最高級といわれる明るいバーズアイメイプルウッドで装飾されたインパネ。「ドイツ車の合理主義に徹した豪華さとは明らかに異なる。ジャガーは豪華というより贅沢な味をかもし出す」と三本さん。

ジャガーらしい仕上がりで、気持ちがいい走りができる。完成度は高いと思った」とコメント。タイプXを駆る三本さんは、やはり「ジャガー」をドライブしている顔になっていました。

ツッコミは一点。「エクステリア優先で背が低いからだと思うが、頭上空間が狭い。私の座高では手のひら一枚程度。もう少し余裕がほしい」とのこと。

しかしジャガーとしては、これでも随分と実用的なパッケージらしい。タイプXのマーケティング担当は、「室内が広く実用的」とアピールしています。

全長はタイプSよりさらに19.5ミリ短いですが、一目でジャガーだとわかるエレガントなエクステリア。

今までになかった異色のジャガーで売り込み難くないですか?という三本さんの問いにマーケティング担当は、「ジャガーの伝統的価値は、スタイル、猫足と賞される足回り、ジャガーらしいハンドリングであり、タイプXはそれらの価値を十分に兼ね備えている。そしてトラクション4などの新しい価値が加わったことで、タイプXはより魅力的なジャガーである」とのこと。

もっと安くなりません?と値切る三本さん。社長は「安くするには、どこかでコストを削らなければならない。コストを削っていくことで、ジャガージャガーでなくなってはならない。そのバランスが難しいと思う」とのこと。

さらに「日本は装備に期待する市場であり、安全装備もフル装備で提供しなくてはならない。必然的にコストは増加する市場」とのことでした。

たとえばFFにすればコストは抑えられるのでは?という問いには、「ジャガーらしければ前輪駆動でも私はいいと思う。ジャガーらしくないものを、ジャガーとして商品にはできない。お客様からジャガーであると評価して頂けるか、それだけです」とのこと。

最後に社長が三本さんに「タイプXはジャガーだと思いますか」と質問。「ジャガーだと思います」と答えると、「ありがとう」いわんばかりに三本さんの胸元にX型のバッチを付けていました。

ジャガーであること。ジャガーらしさ。売る側は、伝統とブランドを強く意識しているようでした。それは同時にジャガーユーザーの意向なのかもしれません。

庶民派の私にはジャガーというブランドの重みについてよくわかりませんが、これまでジャガーをつくってきた人達がジャガーあることを強く意識してつくったクルマなら、まぎれもなくそれは「ジャガー」なんだと思います。

(妄想)美しくなければジャガーではない…。そんなコンセプトを堂々と言い放つすごいクルマ。先週のシトロエンに続き、極上のデートカー。

プレミアムな女性をエスコートするためのジャガーは、美しい野中さんにふさわしい。ゆっくり走っても満足できる数少ないクルマかも。

ジャガーデートは終始美しくなければならない。マクドナルドのドライブスルーに入っていいのだろうか。自由の女神がそびえ立つラブホテルはたぶんバツ

ダ、ダメだ!行動範囲が限定されてデートにならん。

番組「新車情報」にふさわしいクルマでないと、妄想も冴えません。

★次週の予定
トヨタ・ウインダム