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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.121 (2001/1/26) 毎週発行
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★1月22日放映
【ヒュンダイ・サンタフェ】
お隣り韓国最大の自動車メーカー「ヒュンダイ」。今年の1月から、つまり21世紀から日本で販売を開始。日本市場の激戦区において台風の目になり得るのか注目です。
オフィシャル・ページはこちら
http://www.hyundai-motor.co.jp/
基本スペックは、V6DOHC、2.7リッター、179ps、トルクは25.2Kg。燃費は10・15モードで8.7Km/Lと公表されています。価格は223.2万円。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、7.0Km/Lでした。時速100Km走行時の騒音は66dBでした。
全長4500、全幅1845、全高1730、重量1710kg。
グレード構成は2種類で、エンジンも2種類。V6の2.7リッターと、直4の2.4リッター。2.4リッターは2WDになり、価格は177.7万円。
本国では5種類のエンジン・バリエーションがあって、2リッター、2.4リッター、2.7リッター、2リッター直噴ディーゼル、そしてなんと2.7リッターのLPG仕様が一般向けにラインナップされているそうです。
ヒュンダイ(現代)のクルマは、既に世界197ヶ国へ輸出されており、日本で198ヶ国目。
年間総生産台数は280万台。うち120万台が韓国国内で販売され、残り160万台が輸出されているとのこと。
世界の自動車メーカーの生産規模(産経新聞)を見てみると、マツダが93万台、三菱が170万台、ホンダが242万台、VWが458万台、ルノー・日産が466万台、ダイムラークライスラーが490万台、トヨタが544万台、フォードが722万台、GMが924万台。
生産規模だけで見ると、ヒュンダイはホンダに近いといえます。エンブレムがいづれも「H」で似ています。
昨年後半にアメリカへ進出しており、アメリカにおける今年度の販売計画は11万台というから驚きます。
ヒュンダイの開発現場の模様がVTRで紹介されました。大規模な設備を有する最先端企業のようです。
衝突実験施設やテストコース、風洞実験、騒音振動実験、高温・低温実験、耐久性試験、ホコリやチリだらけのダスト・トンネルなど、いづれも実車で試験できる世界でも有数の施設を持ってる模様。
乗用車は13車種をラインナップしているとか。今回日本に投入してきたのはセダン、ミニバン、今回紹介しているSUVの3車種。
正規代理店ヒュンダイ・モータージャパンの人は、「日本市場での競争はたいへん厳しいと認識している。一方で日本はクルマに対する価値観の多様化が見られ、新規参入ブランドであっても魅力的な商品を提供し、ユニークなブランドイメージの確立ができれば、成功の機会は十分あると考えている」とのこと。
そしてヒュンダイのコンセプトは「スタイリッシュで高品質、快適なクルマをリーズナブルな価格で提供していくこと」だそうです。
前置きが長くなりましたが、さっそく三本さんの辛口インプレッション。
高速道路をクルージングするサンタフェは、大柄な車体でアメ車の風格です。名前の由来はニューメキシコ州にある都市の名前から命名。
「実際に乗ってみると無視できない」と三本さん。日本車に太刀打ちできるクオリティを十分持っている様子。
騒音はうるさいレベルではありませんが、ロードノイズが気になると言っていました。タイヤの銘柄はブリヂストン。
乗り味は固め。ステアリングはクイックな印象。しかしクイックに車線変更すると頭を振る感じがして、ロールが大きめ。
山坂道では「(まわすと)エンジン音が気になる」とのこと。VTRの音声からもグワーンというエンジン音が鳴っていました。
ステアリングの反応は早いようですが、やはり「頭を振る」そうで、着座位置が高いので余計ロールが気になる様子。もう少し抑えられないかとのことでした。
V6横置きエンジンは良い仕上がりだとホメています。FFベースの四駆システムはビスカスカップリング方式。フルタイム4WDで通常、前後のトルク配分は60:40。路面状況によって変動します。
トランスミッションは4速AT。今、何速目で走っているか表示するインジケーターが付いています。
視線が高く見晴らしはイイようです。しかし天井が低く、圧迫感がある模様。頭上空間は手のひら一枚程度の余裕しかありません。RVは広々した室内空間が魅力なハズ。スライディング・ルーフと三本さんのスーパー座高を考慮しても、ここはかなりマイナスポイントかも。
シート生地は三本さんが大嫌いなモケット地。最近の日本車では少なくなってきました。
「モケットはイケマセン」と三本さんがツッコむと代理店の人は、「600人の日本人にアンケートした結果」とのことでした。確かに高級感があって見栄えはいいですが、クルマのシートに適しているかどうかは疑問。
私的には別にモケットでもいいのですが、グニャグニャとやわらかいシートが嫌いです。ちなみにパッケージオプションで本皮シートが選べます。
フロントサイドのエアコン吹き出し口が変わっていておもしろい。運転席で操作できる集中ドアロックは、ゴチャゴチャして使いづらいとのこと。
スタジオで野中さんが助手席に乗ってみます。車高が高く、女性には乗りづらいそう。クロカン四駆によくあるサイドステップはありません。
「私も乗りづらかった」と三本さん。「下手するとズボンがサイドシェルにこすれて汚れる」とのこと。
リアは跳ね上げ式。ガラスも跳ね上げで開きます。使い勝手が良さそう。サードシートはありませんのでラゲージは広いです。セカンドシートを前に倒すと、更に広いフラット空間になります。
クルマに向かって、「頑丈な鉄板だ」と言いながらボディーにパンチする三本さん。
「パネルがペコペコする日本車もあるが、これはシッカリしている」とのこと。でも三本さんに本気でパンチされたら、どんなクルマもボコボコにヘコむでしょう。
私は、この車体とガッチリ感にもかかわらず重量が比較的抑えられているのがスゴイと思いました。
安全には特に注力しているとのことで、エアバックはもちろん、世界水準の衝突安全をクリアしている模様。
細かいツッコミが多かったものの、三本さんの総評としては「なかなかヤルな」といった印象です。「韓国人の集中力には感心した」と技術力の高さを評価していました。
気になるアフターフォローですが、全国に約10ヶ所。今月からはじまったばかりですので、今後は増えることでしょう。ディーラーを只今募集中だそうです。
韓国車が我が国で成功するのか?大方は否定的かもしれません。予想するのは非常に難しい。
アルファのように強烈なブランドイメージがあればまた別かもしれませんが、まず求められるのは高品質と耐久性。また昨今ではリコール隠しなどが問題になって、企業の取り組み方やユーザーに対する姿勢が、クルマ選びの重要なポイントになってきました。
今年最初の放送でモータージャーナリストの星島浩さんは、「日本車が初めてアメリカに進出したときのことを思い出せば、日本中に韓国製のクルマが走りまわる可能性だってあり得る」と言っています。
立地的にはすぐお隣りの国。ユーザーの要望、フィードバック、輸送、パーツの調達など、国産メーカーに劣らないサービスが可能かもしれません。
脱線しますが、洋服はタンスに入りきらないくらい持っているし、不景気なので服なんて売れない。でも唯一、ユニクロだけは売れていて、影響で他社もカジュアル服の値段が下がり、品質が上がっている。カジュアルならば毎シーズンごと買い替えてもいいという発想になってくる。
服とクルマは違いますが、高品質な商品とサービスの提供は、既存概念を変えると思う。
クルマづくりでヒュンダイから教わることがあるとしたら、技術よりも日本市場の既存概念にない何かだと思う。そんな「台風の目」になってほしいです。
(妄想)誰にも似ていない個性と、スタイリッシュなフォルム。そこにRVの機能性がマッチしたサンタフェは注目度バツグン。そんな旬のクルマに、三清さんとドライブし
てみる。
ベンツに乗るときはベンツに乗っている顔になるし、BMWに乗っているときはBMWに乗っている顔になる。
刷り込みが一切ない、真っサラなクルマに乗るというのも、新鮮でちょっとドキドキ。まるで学生時代、はじめてステアリングを握ったときのように。
三清さんとの妄想もずいぶん長くなりましたが、初めて三清さんを見てドキドキしたときのように、新鮮な気持ちでまた妄想したいです(?)
★次週の予定
トヨタ・クルーガーV