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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.157 (2001/10/5) 毎週発行
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★10月1日放映
【トヨタ・ウィンダム】
トヨタの最上級FFセダン。初代ウィンダムは1991年に登場。1996年にモデルチェンジを行い、今回で3代目。アメリカでは「レクサスES300」として人気が高く、この新型もアメリカで高い評価を得ることは間違いなし。
オフィシャルサイトは
http://www.toyota.co.jp/Showroom/All_toyota_lineup/Windom/
基本スペックは、V6、DOHC、3リッター、215ps、トルクは30.5kg。5速AT。燃費は10・15モードで9.8km/L。国土交通省の排気ガス認定は☆。価格は386万円。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、10.0km/Lでした。10・15モードよりいい結果。時速100km走行時の騒音は63~64dBでした。
全長4865、全幅1810、全高1455、重量1530kg。最小回転半径5.6m。
トヨタの人は「初代、2代目とも国際的な感覚を持ったニューエグゼクティブの方々にふさわしい車として、高性能と高品質、そして洗練されたスタイルに高い評価を頂きました。3代目も高級セダンの世界標準を目指し、世界同一の仕様としました」とのこと。
さらに「テーマは2つ。乗る人のセンス、ゆとりのライフスタイルを感じられるような美しいスタイリング。2つ目はプラットフォームを一新し、米国のみならず世界の高級車のエントリーカーにふさわしい、ニア・ラグジュアリーをリードする基本性能を追求すること」。
三本さんが「ニア・ラグジュアリーとは何?」と質問すると、それは「米国市場でラグジュアリーのエントリーカーが属するセグメント」だそうです。
要は、海外で高い評価を得ている高級ブランド「レクサス」のエントリーモデルがウィンダムです。
エンジンは2.5リッターを廃止して3リッターに一本化。もともと2.5リッターモデルは日本仕様だけでした。ウィンダムの生産はすべて日本国内で行われ、そのほとんどがアメリカ市場へ。向こうでは日本の販売台数の3倍も売れているらしい。
そんなアメリカ仕様の純日本車に、ニッポンの頑固オヤジが試乗します。
静粛性に驚く三本さん。「新車情報」史上、最も静かだったクルマ、三菱・プラウディアにはおよびませんでした。打倒セルシオで徹底的に遮音したプラウディアは驚異的な静かさでしたが、すでにお亡くなりになってます。
「遮音材を徹底的に施すことで静かなクルマになるが、遮音材だけで重量が約40キロも増してしまう。音を遮断するだけでなく、吸収する発想をした」とトヨタの人。
高密度と低密度のフェルトを組み合わせた新防音材を採用し、最適なポイントに設置したといいます。これにより高い静粛性を実現しながら遮音材の重量は3割削減。
コストがかさみ、かつ重くなる遮音材に頼らない手法が一般的になれば、庶民のクルマがもっと静かになる可能性があるのかも。
高速道路での乗り味は静かでスムーズ。時速100キロ時のエンジン回転数は約2000。FFの5速ATはトヨタでは初めて。
ステアリングは意外と機敏でクイックな印象。
上級のGグレードには、ダンパーの減衰力を最適に制御する新型TEMSを標準装備。これにより高速道路の車線変更などで、適度な安定感をもたらす模様。
このセミアクティブサスペンションは、お好みの固さにマニュアルで設定することも可能。三本さんは山坂道でハードに設定し、「気持ちイイ走りだ」とコメントしています。また少しばかり攻めてもタイヤが鳴り出すようなく、足回りは成熟されている模様。
3リッターV6ユニットはパワーに不満なし。先代モデルに搭載されていたエンジンをさらに改良したもの。
室内はウッド調パネルを多様し、品のある豪華な空間を演出。三本さんも「悪くない」といった感想でした。また室内はたいへん広い。単に広いだけでなく、適度なつつまれ感を出して高級車らしさを表現。
本革のシート。サイズが大きくホメていました。アメリカ向けと同じシート。
エクステリアは先代のイメージを踏襲。特徴あるフロントまわりをさらに強調。サメの目みたいですが、アメリカ人には好評らしい。デザインは、各拠点のデザインセンターで競合させ、最終的にはトヨタ社内の日本人デザイナーの案が採用されたとか。
ツッコミは一点、やはり「日本ではデカすぎる」。1.8メートルを超える車幅は、そこらのミニバンよりデカイです。
デカくてうれしいのはトランク。人を運べそうなくらいデカい。トランクフードはヒンジ式ですが、そのアームが収納されるように工夫されていて、閉めたときにアームで荷物をつぶすということがない。「これならダンパー式でなくてもいい」とホメていました。
アメリカのエグゼクティブが毎日通勤に使う場面を想定したら、かなり満足度が高いクルマだと思います。ストレスを感じない走りと静かな室内。そこで音楽を聴いたりする朝のひととき。
そして世界一の信頼性。ある朝エンジンがかかりにくく、大事なプレゼンに遅刻した、なんてことは皆無でしょう。
(妄想)大人の紅葉ドライブ&温泉。内風呂、ゆかた、シメジの天ぷら。このようなキーワードを聞くだけで興奮してしまうのは私だけでしょうか。
まもなく紅葉で賑わう日光の中禅寺湖畔。イケてるカップルは今の時期にこそ訪れて、季節の境界を肌で味わう。紅葉した枝葉を時折見つけては、静かな秋の足音を感じる。
「動」の性能を磨きながら「静」を大切にしたクルマ、ウィンダムならそんなオータムドライブに最適です。
いつもおしゃべりの野中さんも、ウィンダムが演出する静寂を楽しんでいる様子。
一方私は、「静」から「動」へ、いつ豹変すべきか。そればかり考えていました。
★次週の予定
ヒュンダイ・XG
ジャガー・タイプX Vol.156 (2001/9/28)
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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.156 (2001/9/28) 毎週発行
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★9月24日放映
【ジャガー・タイプX】
JAGUAR。英国のクラフトマンシップを伝える芸術品であり、クルマを超えた価値観を享受することができる限られた人達だけのブランド。一般ピープルには縁がないクルマの代表格でした。しかしフォードグループの一員になってからは、数とコストを意識する戦略へと変化。そして今回、400万円台の激安?ジャガーが登場です。
オフィシャルサイトは
http://www.jaguarcars.com/jp/
基本スペックは、V6、DOHC、2.5リッター、198ps、トルクは24.9kg。5速AT。フルタイム4WD。燃費は10・15モードで7.9km/L。価格はSEグレードで475万円。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、8.0km/Lでした。10・15モードよりいい結果。時速100km走行時の騒音は67dBでした。
全長4685、全幅1790、全高1420、重量1620kg。最小回転半径5.3m。
エンジンは2.5リッターと3リッターいずれもV6の2本立て。2.5リッターでは3グレードが用意され、今回取り上げているSEのほかにスポーツというグレードが455万円。最も安いのが425万円。3リッターではSEグレードのみで525万円。意外とバリエーション豊富で選択肢が広い。
ジャガージャパンのイギリス人社長自ら番組に出演して、日本語で以下のようにアピールしました。
「タイプXはジャガー初のコンパクト・スポーツセダンである。その目的は、成長著しくまた競争の激しいこのセグメントで、新しくかつ強力な選択肢をご提供すること、そしてジャガーおける新世代顧客の獲得である。また、タイプXはジャガーの生産台数で約5割を占めるべく、ボリュームリーダーとしても位置づけている」とのこと。
この発言からタイプXが単なるジャガーのエントリーカーではなく、最も流通するジャガー、つまり「顔」にするということか。
横置きエンジン、フルタイム4WD。今までのジャガーになかった新レイアウト。タイプXのベースはグループの親会社、フォードのモンデオ。
「プラットフォームはモンデオですよね」という三本さんに社長は、「プラットフォームの定義は難しい。まるでモンデオの台車の上にジャガーのボディを載せたような言い方をする人がいるが、まったく違う」とタイプX=モンデオといった論評を牽制します。
「共通化されたプラットフォームとは、統一化されたシステムのことである。モンデオはフォードで開発され、ジャガーはジャガーで開発している。別々のチームが統一化されたシステムの中で開発する過程において、両者で区別する必要がない機能は共通化している。たとえばワイパーモーターはその機能を満たせばいいわけであり、そういったものは共通化している」と社長。
フォードのエンジンをパクッてると言われていますが、これについても同様。社長は「確かにブロックはフォード製のものを使っているが、ヘッドからエンジン・マネジメントまでジャガー開発。ジャガーらしいエンジンとは、ジャガーのために作らなければならない。それができなければフォードのベースは使わなかった」とのこと。
ジャガーの「味」に関係ない部分、ユーザーの目に見えない部分はオリジナルでなくてもいいという考え方。それ以外はあくまでジャガーオリジナルである。だからタイプXはジャガーそのものである、と主張します。
すでにヨーロッパでプロトタイプを試乗ずみの三本さん。「フォード製とは思えないエンジンだ。3000回転で最大トルクを発生する低中速重視のユニットはたいへん扱いやすい。」と感心。フォードのエンジンをそのままではないことは、先の社長のお話の通り。
「自動車は四輪が駆動すべき」という持論の三本さん。ジャガー初の4WDを、「直進安定性がいい。よく出来た4WDだ」と評価。
山坂道では、「ジャガーのスムーズ感は出ているが、やはり今までのジャガーとはカテゴリー自体が違う」とのこと。この発言はどういう意味か?ジャガーらしくないということか。
ステアリングはダイレクト感があるスポーティな印象。お決まりJ型のATセレクタレバーは、機能的で扱いやすいとのこと。
ジャガーらしい内装。仕立てのいい革シート。本物の機能を追求することが革シートを採用する本来の価値観なのかも。「牛の革の品質管理は大変難しい。タイプXのシートもこれまで通りジャガーの厳しい品質管理の中からご提供している」と社長。
クラシックな文字のインパネのメータ。最高級といわれる明るいバーズアイメイプルウッドで装飾されたインパネ。「ドイツ車の合理主義に徹した豪華さとは明らかに異なる。ジャガーは豪華というより贅沢な味をかもし出す」と三本さん。
「ジャガーらしい仕上がりで、気持ちがいい走りができる。完成度は高いと思った」とコメント。タイプXを駆る三本さんは、やはり「ジャガー」をドライブしている顔になっていました。
ツッコミは一点。「エクステリア優先で背が低いからだと思うが、頭上空間が狭い。私の座高では手のひら一枚程度。もう少し余裕がほしい」とのこと。
しかしジャガーとしては、これでも随分と実用的なパッケージらしい。タイプXのマーケティング担当は、「室内が広く実用的」とアピールしています。
全長はタイプSよりさらに19.5ミリ短いですが、一目でジャガーだとわかるエレガントなエクステリア。
今までになかった異色のジャガーで売り込み難くないですか?という三本さんの問いにマーケティング担当は、「ジャガーの伝統的価値は、スタイル、猫足と賞される足回り、ジャガーらしいハンドリングであり、タイプXはそれらの価値を十分に兼ね備えている。そしてトラクション4などの新しい価値が加わったことで、タイプXはより魅力的なジャガーである」とのこと。
もっと安くなりません?と値切る三本さん。社長は「安くするには、どこかでコストを削らなければならない。コストを削っていくことで、ジャガーがジャガーでなくなってはならない。そのバランスが難しいと思う」とのこと。
さらに「日本は装備に期待する市場であり、安全装備もフル装備で提供しなくてはならない。必然的にコストは増加する市場」とのことでした。
たとえばFFにすればコストは抑えられるのでは?という問いには、「ジャガーらしければ前輪駆動でも私はいいと思う。ジャガーらしくないものを、ジャガーとして商品にはできない。お客様からジャガーであると評価して頂けるか、それだけです」とのこと。
最後に社長が三本さんに「タイプXはジャガーだと思いますか」と質問。「ジャガーだと思います」と答えると、「ありがとう」いわんばかりに三本さんの胸元にX型のバッチを付けていました。
ジャガーであること。ジャガーらしさ。売る側は、伝統とブランドを強く意識しているようでした。それは同時にジャガーユーザーの意向なのかもしれません。
庶民派の私にはジャガーというブランドの重みについてよくわかりませんが、これまでジャガーをつくってきた人達がジャガーであることを強く意識してつくったクルマなら、まぎれもなくそれは「ジャガー」なんだと思います。
(妄想)美しくなければジャガーではない…。そんなコンセプトを堂々と言い放つすごいクルマ。先週のシトロエンに続き、極上のデートカー。
プレミアムな女性をエスコートするためのジャガーは、美しい野中さんにふさわしい。ゆっくり走っても満足できる数少ないクルマかも。
ジャガーデートは終始美しくなければならない。マクドナルドのドライブスルーに入っていいのだろうか。自由の女神がそびえ立つラブホテルはたぶんバツ。
ダ、ダメだ!行動範囲が限定されてデートにならん。
番組「新車情報」にふさわしいクルマでないと、妄想も冴えません。
★次週の予定
トヨタ・ウインダム
シトロエン・C5 Vol.155 (2001/9/21)
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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.155 (2001/9/21) 毎週発行
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★9月17日放映
【シトロエン・C5】
エグザンティアの後継モデル。セダン快適性とワゴンの機能性を併せ持ち、ユニークで独創的なサスペンションの採用など、シトロエンはまさに個性豊かなクルマです。
オフィシャルサイトは
http://www.newseibu.co.jp/citroen/C5/
基本スペックは、V6、DOHC、3リッター、210ps、トルクは30.0kg。4速AT。10・15モードは発表されませんでした。価格は422万円。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、8.4km/Lでした。時速100km走行時の騒音は63~64dBでした。
全長4620、全幅1770、全高1480、重量1540kg。最小回転半径6.2m。
シトロエンといえば金属バネを使わないハイドロサスペンション。その媒体は窒素ガスで、車高の調整を油圧によって行います。
三本さんも以前シトロエンを所有していたとのこと。この「味」を一度体験するとヤミツキになるとか。
半世紀にわたり成熟を続けてきた独創的なシステムは「ハイドラクティブ3」へと進化。車速と路面状況に応じて、車高を自動調整するハイテク・サス。
スタジオで試してみます。三本さんの体重は現在82kg。野中さんの体重は…わかりません。2人が乗り込むとググっと車体が沈みましたがあら不思議、ゆっくりと上がってきました。エンジンをかけていない状態でも車高の自動調整機能が働く。まるで生きてるみたい。「スゴイですねえ」と野中さん。
正規代理店の新西武自動車のHPによると、車速が110キロに達するとフロント15ミリ、リア11ミリそれぞれ車高を下げて走行安定性を向上。
すごく野暮なツッコミなんですが、時速110キロ??
悪路の場合、車速が70キロ未満であれば車高を13ミリアップしてロードクリアランスを確保。これなら安心してフルエアロもOK。
車高はマニュアル操作で任意に調整することが可能。大黒埠頭にてハイドロパフォーマンスもOK。
高速道路では、「異次元の乗り心地」「静かな湖水の上に居るようだ」「尖った感じがまったくない」とその乗り味に感激する三本さん。また、直進安定性をホメています。高速道路ではまさに「湖水を漂う」気分。「気持ちが穏やかになる乗り味」とも表現。
高速道路での急な車線変更は「まったくロールしない」と言っています。クルマとして理想的な特性を示すダンパー。
シトロエンはプジョーグループの一員になったことで、プラットフォームやエンジンは協同開発。
V6は横置きFF。数値的には大したことありませんが、低中速トルク重視の扱いやすいエンジンとのこと。この他に2リッターもラインナップされ、そちらのグレードなら316万円とお安くなってます。
山坂道では「FFの癖がでない。ロードホールディング性が高くスムーズだ」とのこと。
「こんな乗り心地のいいクルマは世界中見渡しても少ないよ」とのこと。ぜひ一度体験したいものです。
一体どんなサスペンションなのか見てみたい。以前エグザンティアのエンジンルームからこのサスペンションを見たときは、球状の物体が左右にそれぞれに「チン座」してました。
今回もそのタマタマを見ようとスタジオでボンネットを開ける三本さん。キン隠しならぬ、カバーで覆われていました。番組の為に仮止めされていたカバーを外すとタマタマが登場。ハイドラクティブ3ではそれは真ん丸ではなく、楕円形でした。
正規代理店の人は、「改良されたハイドロリックフルードの採用により、通常の使用なら5年または20万キロ走行までメンテナンスフリーです。窒素ガスの継ぎ足しも不要」とのことで、カバーは耐久性の証とか。
見た目は3ボックスのセダンですが、5ドアハッチバック。タップリした積載能力と多彩なシートアレンジ。
C5はまもなくステーションワゴンのブレークが発売開始される予定。
シトロエンの最上級グレードのXMは、ラインアップから消えています。よって現時点ではC5がフラッグシップ。最上級グレード「C6」の開発が現在行われており、2~3年後には登場予定とのこと。
昔乗っていたシトロエンではマイナートラブルに泣かされたという三本さん。「最近のシトロエンはどうですか?」という問いに正規代理店の人は、「エグザンティア以降、耐久性、信頼性ともに向上しており、故障はほとんどありません。普通に乗っていただいて問題ありません」とのことでした。基本パーツをプジョーと共通としている点からも、品質は向上している模様。
他の試乗記を浮気見すると、リーズナブルな2リッターモデルは非力な印象らしいです。となるとぜひV6を選びたいところ。
エクステリアでは一目でわかるようなシトロエンらしさが少し薄れてきた、という批判も聞かれるC5。
内外ともに独創的と評価される「個性」のクルマが高いか安いか。いずれにしても400万円台という価格帯は、庶民には手が届かないオーダーにかわりありません。
(妄想)あの2CVを知っている女性は意外と多い。ベンツやポルシェよりずっとウケがいいシトロエン。お姉さん達は「走り」なんてぜんぜん関係なかったりする。
ツールとして申し分なし。イケてるフランス車は野中さんとのスタイリッシュデートに最適。今週キメなくていつキメる?(自問自答)
野中さん大好物のチーズ。最後の甘いデザート。ハイドロのフワッとした乗り心地は、フランス料理のフルコース平らげた2人に気持ちいい余韻をもたらしてくれる。
マッタリとした食後。秋の夜長と涼しい風。もっともっと気持ちよくなりたい!
「ふ、2人だけでワインを飲もうか…」。
助手席に目をやると、爆睡してました。
★次週の予定
ジャガー・Xタイプ
VW・ルポ Vol.154 (2001/9/14)
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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.154 (2001/9/14) 毎週発行
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★9月10日放映
【VW・ルポ】
149.9万円。150万円を切るリーズナブルな輸入車。ルポはフォルクスワーゲンの中で一番小さなクルマです。
オフィシャルサイトは
http://www.vwj.co.jp/
基本スペックは、直列4気筒DOHC、1.4リッター、75ps、トルクは12.8kg。4速AT。燃費は10・15モードで14.0km/L。価格はMDデッキなどオーディオを標準装備するコンフォートパッケージで159.9万円。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、11.6km/Lでした。時速100km走行時の騒音は68~69dBでした。
全長3525、全幅1640、全高1475、重量1000kg。最小回転半径4.7m。
フォルクスワーゲン・ジャパンのラインナップに加わったルポ。ルポより一つ上の車種であるポロは、以前に番組でも紹介されました。「ルポ」と「ポロ」は区別しづらい。野中さんも今週の番組の中で何度か呼び方を間違えていました。
ルポはヨーロッパでは98年にデビューしており、通算26万4千台も売れているスモールカーのスタンダード。日本へは3年落ちで登場。
ルポといえば「3リッターカー」の「ルポ3L」。「3リッターカー」とは、3リッターの燃料で100キロの距離を走るという低燃費車。日本においても2000年に発表会が行われましたが、ディーゼルということもあって正式導入されませんでした。
本国でのエンジン・バリエーションは3つ。1リッターガソリン、1.4リッターディーゼルターボ、1.4リッターガソリン。日本へは1.4リッターガソリンのみ。
ヨーロッパでは1リッターガソリンが最も売れているとか。その次にディーゼル、1.4リッターガソリンは最も売れていないそうです。
デカイ三本さんが小さなルポに試乗。しかし妙な違和感はありませんでした。体格を選ばないパッケージングはさすが。
高速ではウルサ過ぎないが、静かでもないエンジン。日本車にくらべ若干、非力さを感じる模様。「日本車では1.4リッターで100馬力は今や常識」と三本さん。しかし、「実用エンジンとしては不満なし」と改めてコメントしています。三本さんも我々も、パワーという麻薬に侵されているのかも。
この1.4リッターエンジンはポロと基本的に同じで、EUの新しい排ガス規制に対応済み。
時速100キロ時、エンジン回転数は2700~2800。
芯のあるドイツ車的な足回り。「特に滑らかな舗装が続く高速道路では気持ちがイイ乗り味」とのこと。しかし「路面が荒れたところだと、ちょっとかたい感じがする。もう少しサスペンションで吸収してほしい」とツッコミも。
舵のフィーリングはスポーティで反応が早く、キビキビしている印象。
山坂道では非力さが目立ちました。登り坂が続くワインディングには不向き。パワーという麻薬にラリッてる、我々だけがそう思うだけかも…。ATは日本製。
「速い速度でコーナーに進入すると、サスペンションの特性が変わる感じがする。これはタイヤのせいかもしれない。サイズを替えて、空気圧を高くすれば改善するかもしれない」と三本さん。また、コーナーでトルクをかけると強アンダーステア傾向が出や
すいらしい。
内装では、ドアの内バリやAピラーなど所々ボディと同色の鉄板がむき出し。日本車ではこのような仕上げは少なくなりました。「合理性の追求。安っぽく見えない。上手く演出している」とホメています。
シートの出来もホメています。調整機能が少し異なりますが基本的にポロと同じシート。「見せかけだけのシートが多い日本車に比べて、よく出来ている」。しかしサイズ的には、三本さんの体格では若干小さめだった模様。
前席は十分広く居住性に問題なし。後席には立派なヘッドレストが3つ。後席へアクセスするためのウォークイン機能の出来がイイ。簡単な操作で大きく開口し、三本さんでも難なく乗り降りしていました。
後席のシートベルトアンカーは自立式。またロードリミッター付プリテンショナーシートベルトを採用し、スモールカーといえども手を抜かない装備はさすが。でもチト狭い。大人3人は現実的には無理?。
ソリッドなボディの塗装色をホメています。キラキラ光る混ぜ物で塗装を高価に見せる日本車。「塗装はソリッドのほうが丈夫なんだ」と三本さん。
しかし、その塗装が施された「バンパー」にツッコミが入りました。「ヨーロッパでは当然、黒バンパーですよね」と三本さん。この塗装バンパーはフォルクスワーゲン・ジャパンが発注したジャパニーズ仕様らしい。「日本ではこうしないと売れないので」
と代理店の人。キレる尊師。
「ちょっとぶつけてキズになっただけでも、塗装やなんだかんだで15万円くらいかかるんでしょう?150万円のクルマで、1割もバンパーに修理代がかかるなんてケシカラン!おかしいと思わないの?アンタらにはやさしさってもんが無いのかい」。
三本さんが言う修理代15万円が正確なのか不明です。が、いずれにしても塗装バンパーの修理費が高いことは周知のとおり。特にエントリーモデルにおいては、バンパーを擦ってしまうようなユーザーが多かったりするわけで、本物の合理性も同時に輸入し
てほしかった、といったところか。
しかし我々ユーザーがどんな消費行動を取るか。エアロをまとったホンダ・フィットと見くらべて、「合理性」という理由で、そっけない樹脂バンパーのルポを選ぶだろうか。悲しいかな日本人はそういった「モノ」を見極める眼力が無いのが現実かも。
ボンネットフードがダンパー式。あの三本さんが一瞬驚いていました。「このクラスでダンパー式を採用とは。日本車では300万も400万もするクルマでもツッカイ棒が多いのに」。
3ドアハッチバックのみ。そのコンパクトなボディ・サイズからラゲージの容量は少ないものの、機能面では見劣りしません。後席シートを前に倒せば十分な積載量を確保。その際、ヘッドレストがジャマにならないよう決められたところにちゃんと納まる。スマートな印象のクルマでした。
安い価格設定について。ドイツ本国にくらべ、同じ仕様で日本円に換算して10万円しか違わないとか。「儲からないでしょう」と三本さん。「儲かりませんね」と代理店の人。しかし常々思うことは、輸入車の価格設定と値引きに関してかなり不透明感があること。まあルポは不透明にする余地はないでしょうが…。
今年の販売目標1,500台。ひかえめです。
最高のスモールカーだったヴィッツ。一人勝ちは許さん!とばかりフィットが登場し、一気に加熱しているスモールカー戦争。もちろん日本勢はこの2台だけではありません。高度で高品質なバリュー戦争に、3年落ちのルポは少々役不足か。
しかし道具としての品質ではフォルクスワーゲンも決して負けてない。本物の合理性、欧州の雰囲気、飽きのこないエクステリア、欧州での実績。
クルマに対して、何かちょっとだけこだわるユーザー達へアピールできれば、バリュー戦争の隙間に入り込む余地はたぶんあると思う。またこのクラスは数が出ますから、日本に1500台しかないクルマに乗れるなんて考え方によってはイケてるのかも。
(妄想)かわいいルポでルンルン・ドライブ。もちろんかわいい野中さんを助手席に乗せて。
都内の買い物ユースに最適なルポ。そしてアッシーとして最適な私…。
季節は秋へ。我々アッシーやメッシーやネッシーは、本命へと脱皮しなければいけない時期。脱皮に失敗した者は「死」あるのみ。
とりあえず、今日はキビキビとメリハリある運転でお買い物に貢献。おしゃれな秋色の服を選んだ野中さん。秋色の野中さんと秋の夜長を過ごすことができるのだろうか…。
そんな心配をよそに、どうやらルポがたいへんお気に入りの様子でした(泣)
★次週の予定
シトロエン・C5
ホンダ・インテグラ タイプR Vol.153 (2001/9/7)
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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.153 (2001/9/7) 毎週発行
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★9月3日放映
【ホンダ・インテグラ タイプR】
かつてテレビCMでアイルトン・セナが宣伝していたプレリュードは、新型インテグラに統合されたようです。
タイプRはその4代目インテグラから派生したFFスポーツの大御所。シビックにもタイプRがあり、新型のプロトタイプが先日発表されました。タイプRはインテグラのほうが先輩で、初代は1995年に登場。今回で2代目。
オフィシャルサイトは
http://www.honda.co.jp/auto-lineup/integra_r/
スペシャルコンテンツはこちら
http://www.honda.co.jp/INTEGRATYPE-R/
基本スペックは、直列4気筒DOHC、i-VTEC、2リッター、220ps、トルクは21.0kg。6速MT。
燃費は10・15モードで12.4km/L。国土交通省の排ガス認定は☆☆。価格は259万円。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、11.0km/Lでした。時速100km走行時の騒音は70~71dBでした。
全長4385、全幅1725、全高1385、重量1490kg。最小回転半径5.7m。
「ミニバンのようにユーティリティ優先のクルマが多い時代にあって、クーペの美しいスタイリング、そして走る曲がる止まるといったクルマの基本性能から生まれる操る楽しさを改めて提案したい」ホンダの人。
ダイレクトな運転感覚とすぐれた運動性能で評価された初代。さらにワンランク上のパフォーマンスを目指し、ベースとなる新型インテグラ開発当初から、タイプRが視野にあったとか。
初代の1.8リッターエンジンは、2リッターのi-VTECへ進化。インテグラは3ドアのみになりました。「(インテグラの前身の)クイントはもともとセダンでしたよね」という三本さんにホンダの人は、「2リッターになったのをきっかけに3ドアに統一した。2リッタークラスのセダンは他にラインナップしているので」とのこと。
なんだかんだイケイケ車が大好きな三本さん。「ラリーには使えないんだが」と前置きしながらもさっそく試乗レポート。
プレミアムホワイトパールのボディに真っ赤なレカロが映える。ステアリングホイールはMOMO製本革巻。
6速MTはトリプルコーン採用の全段マルチコーンシンクロ。カチカチとキマる剛性感のある操作フィール。ワイヤー方式ですが、ストッパーに鉄を埋め込むなど、メリハリある操作感に仕上げたとか。
時速100キロ時、6速でエンジン回転は約3000。8500までまわせる高回転エンジン。
ピストン、コンロッド、クランクシャフトはすべて専用設計。コンロッドの大端部にはF1と同じ高負荷メタルが用いられているとか。
低回転?の3000回転でも室内ではそれなりに騒音が聞こえました。軽量化のためにボディの遮音材を一部廃止。しかしベーシック・グレードのSiでは、防音材を施し静粛性を向上させているようです。
山坂道では「FFとは思えないステアリングフィールだ」と絶賛。タイヤサイズは215/45R17。フロント・ロアアーム、リア・ブレーキキャリパーのアルミ化などバネ下重量の軽量化。
今回の2リッターエンジンでは、前モデルの1.8リッターエンジンに比べ約10kgの軽量化。パワートレインではクロムモリブデン鋼フライホイールを採用し、強度を保ちながらも約30%の軽量化。
リアアルミバンパービーム、フロント・ストラットタワーバー、リア・ダンパーガセットなどの追加によりボディを更に強化。前モデルのタイプRより曲げ剛性35%、ねじり剛性116%向上。
そして真っ白な専用17インチアルミホイールから覗く、ブレンボ社製フロントディスクブレーキ。耐フェード性向上のためアルミ対向4ポットキャリパー、放熱性に優れたピラータイプの大径ディスク。ブレーキ冷却ダクトと高冷却性スプラッシュガードの採用により冷却性を向上。
登り5~7%程度の箱根の山坂道では、3速で走るのが気持ちイイ~と三本さん。渋滞路以外ではどこを走っても気持ち良さそうなタイプR。しかし三本さんは、「公道ではこのクルマの使い道はない」と言います。
三本さん的に気持ち良くないことは、ヒップポイントが低く視界が悪いこと。これに対しホンダの人は、「旧型にくらべヒップポイントは4センチアップしている。しかも全高が高くなっているので、頭上クリアランスは旧型より余裕がある」とのこと。
さらに三本さん的に苦痛なことは、Aピラーが極端に傾斜して乗りづらいこと。大きく張り出したシートのサイドサポートが乗り降りをジャマする。スタジオで乗り降りして見せる三本さん。乗り込むときはまだいいとして、降りるときは森のクマさんが穴から這い出てきたみたいでした(失礼)
3ドアハッチバックでラゲージは思いのほか広い。後席を前へ倒せば更にたくさんの荷物が積めます。
タイプRの月販目標は1,500台。ライバルはランサーエボリューションやインプレッサか。
ほしいものが最初から全部付いていてイジるところがない。FFスポーツの走り屋には申し分ナシ。価格もまずまず。2リッターNAで普段は燃費も悪くない。上手にエアロをまとったエクステリアも悪くない。なにより、亡きセナ・スピリットを彷彿とさせ
る一台です。
(妄想)「NGデートをしたら、次回のデートはナシと思え」野中さんとのスタイリッシュ・デートにはこんな緊張感がみなぎります。
長野県知事である田中康夫先生の古書、「東京ステディーデート案内」を読み返す日々。
好奇心旺盛でグルメな野中さん。最近は何が流行っているのだろう。経験豊富でアダルトな野中さんに小手先の店は通用しません。
クルマについては、乗りごこち重視で高級車指向。今週のインテグラ・タイプRではちょっと苦戦です。
しかし、スポーツスピリットに満ちた高い運動性能と、ホンダレーシングのウンチクを語ることで、熱いスポーティ・デートを演出。このクルマの大敵は「渋滞」。それを避けるルート設定が大変でした。
「今度はキミがボクのシフトノブを操作してくれないか」い、言えない…。
デート用オリジナルMDを一人で聴きながら、自分の未熟さに打ちひしがれる帰り道。野中さん攻略への道のりは遠いです。
★次週の予定
VW・ルポ
時代を駆ける名車~スカイラインGT-R~ Vol.152 (2001/8/31)
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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.152 (2001/8/31) 毎週発行
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★8月27日放映
【時代を駆ける名車~スカイラインGT-R~】
ゲストで招かれた櫻井眞一郎氏は、「GT-Rはスカイラインから派生したスポーツカーである。ベースはあくまでもスカイラインであり、ずっとそれを強調してきた」とのこと。
ゲストは、GT-R生みの親である櫻井眞一郎氏。スカイライン8代目にてGT-Rを復活させた渡辺衡三氏。
そしてお馴染みモータージャーナリストの星島浩氏。ツッコミは神話級、モータージャーナリストの三本和彦氏。GT-Rの助手席が似合いそうなアシスタントの野中美里さん。
日産オフィシャルサイトの中に「日産ミュージアム」というページがあり、歴代スカイラインの歴史と映像を見ることができます。
http://www.nissan.co.jp/MUSEUM/SKYLINE/index.html
スカイラインの神様と称される櫻井眞一郎氏は、昭和27年、のちに日産自動車と合併するプリンス自動車工業に入社。1957年(昭和32年)4月に発表される初代スカイラインの設計開発に携わり、以後7代目スカイラインまで主査として中心的役割を担います。
「初代スカイラインは、飛行機野郎がつくった凝りに凝ったクルマだった。その初代は当時のグロリアへつながり、走りに満足できるファミリーカーを目指して開発したのが2代目。スカイラインのルーツでいえば、2代目が初代といえるかもしれない」と櫻井氏。
神様の中では初代だという2代目S50系は、1963年(昭和38年)9月に登場。同年、日本のモータースポーツの幕開けである第1回日本グランプリが開催されます。プリンスはグロリアとスカイラインでレースに挑みましたが惨敗。
レースの結果が販売に結びつくことを知った自動車メーカーは、レースに勝てるクルマづくりを意識するようになります。
第2回日本グランプリに勝つために、グロリアスーパー6用の6気筒G7エンジンを搭載したスカイラインGT(S54)を開発、100台販売します。
櫻井氏はこのときの秘話を披露していました。狭いボンネットに6気筒を納めるため、無理矢理伸ばしたボディ。時間が無くて徹夜のトッカン作業をした結果、実際に走らせると曲がらない、足がバタつくなど、それはスゴイ代物に。テスト走行をしながらエンジニアが現場で修正していったような、まさに技術屋冥利に尽きるお話でした。
ライバル車のレースタイムなどから、スカイラインGTの勝利は確実だったとか。なんと前祝いまでしたらしいですが、それを察知したのか直前になってポルシェ904GTが参加表明。レースでは名勝負を演じたものの、まさかの2位敗退。
これにキレた櫻井氏は、ポルシェに勝つための本格的なレーシングマシン、プリンスR380を開発。1966年(昭和41年)5月に行われた第3回日本グランプリでは、念願叶ってプリンス勢の完全優勝。
同年8月、プリンスと日産が合併。
1968年(昭和43年)7月に3代目スカイラインC10系、通称ハコスカを発表。合併後、日産として最初のスカイラインの誕生。
プリンスR380の心臓部、GR8型エンジンをベースにして開発されたのがS20型エンジンで、このユニットを積んで1969年(昭和44年)2月に登場したのが、初代GT-Rです。
直列6気筒DOHC、2リッター、160ps、当時の価格は150万円。
レースではなんと49連勝、通算58勝という快挙を成し遂げ、ここにGT-Rの不敗神話が生まれました。
真っ赤な初代GT-Rがスタジオに。ドライバーズシートに座る櫻井氏。「今、こうして乗ってみると、かなり違和感がある。どうしてこんなハンドルでいいと私は思ったんだろう。不思議です」とのこと。
細いステアリングはもちろん重ステ。当時試乗した星島氏は、「ハンドルに限らず、すべてが重かった」と話していました。
逆アリゲーターのボンネット。フロントが支点になりガラス側が開くタイプ。当時は逆アリゲーターにしておかないと何かの拍子にいきなりボンネットが開いてしまい、前が見えなくなったとか。今では考えられません。
スタジオに来たGT-Rのボンネットが開くと、うれしそうにエンジンルームを見入る星島氏と三本さん。オートメカニックのエンジン入門特集のイラストでしか見たことがなかった、ウェバー3連キャブレター。始動性が悪く、「エンジンをかけることが技術の一つだった」といいます。
しかも、交差点などでは常に吹かしていないと止まってしまうらしく、止まったら最後、すぐかからない。だからいつも「グワ~ングワ~ン」とやっていたらしいです。のちに、高性能エンジンとはグワ~ングワ~ンやるものだとこのクルマが教えてしまった。たいへん悪いことをした(笑)」と櫻井氏。
リアは板バネ。だから無造作に踏み込むと、お尻がウサギのようにピョコピョコ跳ねる。「クラッチ・リークが難しかった」と三本さん。これでデートはかなりキツそう。
1972年(昭和47年)9月に4代目スカイラインC110系、通称ケンメリを発表。オシャレなエクステリアですごく売れたらしい。
そして1973年(昭和48年)1月に、ケンメリGT-Rが登場。しかし当時、オイルショックや排気ガス規制でグワ~ングワ~ンのGT-Rは姿を消す運命に。強化された排ガス規制に対応することができなかったケンメリGT-Rの生産台数は197台。幻のGT-Rと呼ばれているそうで、レースに出場することもありませんでした。
1977年(昭和52年)8月に5代目スカイラインC210系、通称ジャパンを発表。
1981年(昭和56年)8月に6代目スカイラインR30系、通称ニューマンスカイラインを発表。
1985年(昭和60年)8月に7代目スカイラインR31系、通称7thスカイラインを発表。
以上5代目から7代目まで、GT-Rは登場しません。
1966年生まれの私にとってスカイラインといえば、西部警察で渡哲也がショットガンをブッぱなしながら爆走するジャパンと呼ばれた5代目。
つまり私が憧れたスカイラインは、日本グランプリや富士グラチャンで見せた勇姿ではなく、渡哲也のグラサンとショットガンのマシーンXであり、最後にハデに爆破炎上するスカGターボでした。
そして時代は平成へ。1989年(平成元年)5月に8代目スカイラインR32系がデビュー。
同年8月、栄光のGT-Rが16年ぶりに復活します。直列6気筒DOHC、2.6リッター、ツインターボ、280ps、電子制御トルクスプリット4WD、スーパーハイキャス。
世界のスーパースポーツと互角にならび賞されたガンメタのモンスターは、日本のレースシーンで再びその勇姿を見せることに。遅ればせながらこのとき初めて「R」神話を知るのでした。
レースデビューは1990年3月、西日本サーキットで行われたオールジャパン・ツーリングカー300キロレースで、星野一義/鈴木利男のカルソニックが優勝。
同年の全日本ツーリングカーレースで全レースを制覇。翌年以降のグループAではなんと、29戦29勝、29戦予選1位。その後も全日本GTカー選手権で活躍し、通算62勝という、神話復活と賞賛するにふさわしい実績を残しました。
1993年(平成5年)2月にGT-R Vスペックを発売。BBSホイール、ブレーキはブレンボを装着。その後、1994年(平成6年)2月にBNR32の最終バージョンが発表されます。
1993年(平成5年)8月に9代目スカイラインR33系発表。
1995年(平成7年)1月にGT-Rフルモデルチェンジ。
1997年(平成9年)2月にGT-Rマイナーチェンジ。
1997年10月に40周年記念車を発売。100台の限定でGT-Rがイギリスへ輸出されました。グレードはVスペックのみで、価格は5万ポンド(約1050万円)。言うまでもなく、海外でも高く評価されているようです。
1997年12月にGT-Rオーテックバージョン発売。生産台数400台の希少車。
1998年(平成10年)5月に10代目スカイラインR34系発表。
1999年(平成11年)1月にGT-Rフルモデルチェンジ。
2000年(平成12年)8月にマイナーチェンジを行っています。GT-Rはリヤブレーキを大型化。カーボン・ボンネット新採用など。
今年5月にGT-R Mスペック追加。史上最強のGT-R。これこそ夢に見た本物のマシーンX。大門軍団の団長専用車にふさわしい。カルロス・ゴーン社長も絶賛で、Mスペックかどうか知りませんが現在の愛車はイケイケGT-R。価格は595万円なり。
そして今年6月に11代目スカイラインV35系発表。栄光のGT-Rはどうなっていくのか。その方向性はまだ見えていません。
一貫した主張があるからこそ、そこに歴史が生まれる。現在のMスペックと初代GT-Rは当然のようにまったく別物なわけですが、エンブレムは同じ。だからこそひとつの歴史としてその功績が語り継がれるし、私たちは知ることができます。
櫻井氏はスタジオに運ばれた初代GT-Rに付いている小さなホームベース形をしたシンボルを指差して、「このホームベースは、長細くなったり平べったくなったりしながらもずっと付けてきた。スカイラインのアイデンティティなんですよ」とおっしゃいます。
時代背景に対応しながら、時に妥協し、時に批判されながらも、「スカイライン」を主張し続けてきた同氏。歴史はつくり出すものかもしれない、そんなふうに思いました。
「走りに満足できるファミリーカー」が、当初スカイラインの開発コンセプトでした。そこから博物館が一つできるほどの歴史が生まれた。
そして今、GT-Rとスカイラインは、もはや決別は仕方ないのかもしれない。櫻井氏が言っていた「GT-Rの位置づけはファミリースポーツから派生した最上位グレードである」という定義はずいぶん前から崩れています。
一般ユーザーが購入するスカイラインと、GT-Rはまったく別物。あまりにもかけ離れていて違和感すらありました。GT-Rがレースで培ったノウハウや技術が、我々のスカイラインにどのようにフィードバックされているのか、一般ユーザーに見えなくなっている。
主張はしてほしい。でもその主張は時代に合う違和感のないものにしてほしい。妥協せず、いつも最新技術を盛り込み、誰にも負けない、技術の日産にふさわしいクルマを今後も生み出してほしいです。
さて、今週の放送において協力を得たという「プリンス&スカイラインミュージアム・レッドパーク」。スカイラインの博物館です。櫻井眞一郎氏が名誉会長。場所は茨城県水海道市。
スカイラインオーナーズクラブと街の協力を得て開館したという、まさにスカイラインファンのためのイケてるミュージアム。歴代のスカイラインが約60台展示。櫻井氏のプリンスR380も展示されているとか。興味のある方はぜひ足を運んではいかがでしょう。インターネットで検索しますと、長野県にも同様のミュージアムがあるようです。
(妄想)今週から野中さんを助手席に・・エッ!。いろんな意味でブーイングがありそうですが、実は小生も三清さんの記憶がかなり薄らいでおり、これからは明るくきれいな野中さんを毎週拝見&応援しながら、しぼんだ妄想力を更にアップさせていきたい所存です。
さっそくスタジオにあった真っ赤なGT-Rでデートしたかったのですが、星島氏の話しを聞いているとナンパな私が扱うにはちょっと辛そう。セレクトしたのはステレオが付いた現代のMスペック。
ちょっと無骨でガンダム系のエクステリアに、野中さんのキリッとした横顔がマッチ。マッチしていないのは軟弱ドライバーのほう。
初デート&初GT-Rでかなり緊張。ちょっとキツめな野中さんとハニーなトークを交わすにはどうしたらいいのだろう。来週からまたがんばりマス。
★次週の予定
ホンダ・インテグラ タイプR
2001年上半期を斬る Vol.151 (2001/8/24)
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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.151 (2001/8/24) 毎週発行
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★8月20日放映
【2001年上半期を斬る】
21世紀元年も半分以上過ぎました。お馴染みのゲストと上半期を振り返ります。
ゲストは、モータージャーナリスト界の重鎮こと星島浩氏。元マガジンX編集長で現在はフリーのモータージャーナリスト牧野茂雄氏。21世紀もツッコミは健在、ゴットファーザー三本和彦氏。そして進行役はフレッシュ笑顔がまぶしい野中美里お姉さん。
まずは上半期に登場した軽自動車を含む小型車について。
雑誌の売り上げを気にせず自由な活動が出来たという牧野氏は、ホンダ・フィットを例にあげながら、「最近ぞくぞく登場する新車のニュー・プラットフォームは、燃料電池などの次世代ユニットへ対応できる発展性を兼ね備えているように思う」とのこと。
他に印象に残ったクルマとして牧野氏があげたのは、スズキ・エリオ。「クルマの出来もさることながら、GMグループの中でスズキがどういった役割を担うのか、それが明確に見えたし、今後も健闘が期待される」とのこと。
星島氏は、「ホンダが調子いい。軽自動車のライフが軽ナンバーワンのワゴンRを抜いてトップへ。実質日本で一番売れている車種がホンダ車ということ。小型車フィットは場外ホームランだし、トヨタとしてはおもしろくないでしょうね」とのこと。
三本さんは「日本の小型車もよくなった。多座席パッケージをはじめ様々なニーズに対応した実用的なクルマが多くなった。特にフィールダー、ランクス/アレックス、スパシオなどのカローラ派生車種はバケモノだ。トヨタ車が市場で独走していることは少し気になる」とのこと。
また三本さんはフィットについて、「久しぶりに欲しいと思ったクルマ。さらに注文をつけるとしたら、内装やシートをもう少し贅沢にしてほしい」とのことでした。和製ベンツAクラスをイメージしているのでしょうか。
次に3ナンバー登録車について。
牧野氏は「日産が元気でうれしい。新型スカイラインから採用された新プラットフォームは、今後フェアレディZやセドグロなどへ派生するだろう。とにかくトヨタと同じことをする必要はない。それを新しいデザインで見せてくれることは好感が持てる」とのこと。
三本さんは牧野氏に反論します。特に新しいデザインと賞されているプリメーラについては、「プリメーラは小さいクルマだったからこそニーズがあったし人気もあった。ヨーロッパ市場をにらんであのサイズにしたのかもしれないが、既存のプリメーラユーザーは離れてしまうだろう」とのこと。
またスカイラインについて三本さんは、「豊かな乗り味がしないクルマ」と称して、「なんであんな味にしたのか。乗用車だかスポーツカーだかよくわからないものを私は評価しない」と斬ります。
スカイラインについて星島氏は、「燃料タンクをシートの下へ配置するレイアウトなど、トヨタでは既に採用済み。日産もやっと出たかといった感じで、特に斬新というわけでもない。スカイラインは上級FR車に求められているデザインと雰囲気が物足りないと感じた」とのこと。
牧野氏は「スカイラインについては80年代のプラットフォームを90年代もガマンして使ってきた。これでようやく完全にチェンジすることができた。これからが楽しみ」と期待。
星島氏は「ソアラは世界最高のコンバーチブルだ。できれば助手席にガールフレンドを乗せて贅沢に走りたい」とのこと。同感。
今年の目玉、新車情報大賞の有力候補、エスティマハイブリッド。三本さんは「しかし燃費は意外と伸びなかったなあ」とツッコミを忘れません。
つづいて星島氏は、三菱・ランサーエボリューション7について、「旋回能力の高さと安定性はすばらしかった」と絶賛。
三本さんもランサーエボリューション7は「初老の私を熱くしたクルマ」と同じく絶賛。おじさん達は過激なクルマがお好きな様子。
外国車について。
牧野氏は「自動車メーカーとしては、グループ全体で年間400万台を売らなければ生き残れないといわれ、コストダウンをブランド力でどこまでごまかせるか、といったブランド商売に徹してきた感じがある。そんな中でBMWだけは、グループ化は決して得にはならないとして、独自に生きる路線をとるようだ」と評価。
星島さんは「アウディA4のCVTはよくできていた。5バルブの3リッターV6のパフォーマンスと優れた運動性能を持ちながら、あの乗りごこちはアッパレだ」と評価。しかし「値段が高すぎる」とも。
三本さんは、印象に残ったクルマとしてBMW・X5、そして韓国のヒュンダイをあげていました。
日本車に十分太刀打ちきる実力を持ちながら、セールスでは苦戦しているヒュンダイ。先頃のニュースで、関西のタクシー会社がヒュンダイ車を採用しようとする動きがあるとか。身近で韓国車に触れる日がくるかも。
牧野氏は「クライスラー・ボイジャーはやはりミニバンのお手本だ。日本車もたいへんよく出来ているが、2列目3列目の安全性についてはまだ見習うべき点が多い」とのこと。
三本さんは「ヨーロッパではプレミアムカーと呼ばれるクルマ達は上等な4WDになりつつあるようだ」とのこと。最近日本でもよく耳にするプレミアムカーという表現。日本のプレミアムカーの定義が、世界で通用するものであってほしい。
総括。
牧野氏は「民族資本のメーカーはトヨタとホンダのみ。それ以外のメーカーは大きな外国資本にぶら下がっている。これは日本に限ったことではなく世界的現象。このような構図の中で、日本メーカーの役割が明確になっているのか、ほんとうにその中で生き残っていく道があるのか、あるいはそこから飛び出す例があってもいいのでは」と何かを懸念。
星島氏は「公用車8千台を低公害車にするという方針から、これから多少なりとも意識的が変わっていくと思う」とのこと。
三本さんは将来の方向性について、「あと10年しないとわからん」と投げやりなコメント。
最後に、今年10月末から幕張メッセで開催される第35回東京モーターショウについて。アメリカはバブル景気が終焉し最近パワーが感じられませんが、ヨーロッパではイケイケムード。今度のモーターショウでも欧州勢はかなりの台数を出品するらしい。
三本さんは「やかましいモーターショウは勘弁してほしい。若いねえちゃんが短いスカートで飛んだり跳ねたりするのもウザイ。技術を見せるモーターショウとは、本来静かなものだ」。私は別にイイと思うんですが・・・
まだまだわからない今世紀のゆくえ。
次世代ユニットは、環境目的だけでないことを望みたいです。圧縮比、ブースト圧といった言葉は死語となり、低速から高速まで完璧に制御できる未来のユニットは、理想的なトルク特性を示すことでしょう。
摩擦だけに頼らず新たな制動方法を持つ未来のクルマは、これも理想的なブレーキ特性を示すことでしょう。
ドライブシャフトから開放された車輪にはそれぞれにモータが付き、回転と操舵を個別に制御し、いとも簡単に正・反回転をやってのける。その結果、限りなくゼロに近い最小回転半径を実現しながら、すばらしい高速安定性を併せ持つかもしれません。
今以上に官能的でFunなクルマ。そんな未来を空想していると、21世紀をできるだけ長く生きたい、そんなふうに思いました。
※今週の妄想はお休みです。
★次週の予定
時代を駆ける名車~日産・スカイラインGT-R~