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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.147 (2001/7/27) 毎週発行
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★7月23日放映
【トヨタ・エスティマハイブリッド】
石原都知事の長男で石原伸晃行政改革担当相が、エスティマハイブリッド第1号車をプライベートで購入。小泉首相も公用車を低公害車に置きかえることを表明。
ツナギ?と思われていたハイブリッドに追い風です。今世紀において当面のスタンダードになるかもしれません。
オフィシャル・ページはこちら
http://www.toyota.co.jp/Showroom/All_toyota_lineup/EstimaHybrid/index.html
基本スペックは、直列4気筒、DOHC、2.4リッター、131ps、トルクは19.4kg。フロントモーターの最大出力は13kw、最大トルク11.2kg。リアモーターの最大出力は18kw、最大トルク11.0kg。電気モーターによる4WD。トランスミッションは無段変速CVT。バッテリーはニッケル水素。
燃費は10・15モードで18.0km/Lと公表されています。価格は363万円。国土交通省の排気ガス認定は☆☆☆。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、10.4km/Lでした。時速100km走行時の騒音は64~65dBでした。
思ったほど良くない燃費。三本さんは「すごく暑くてエアコンをつけるため撮影の合間はアイドリングしっぱなしだった。以前の試乗会で私が走ったときは14.8km/Lだった。うまく走れば15km/Lはいくのではないかと思う」とフォローが入りました。ちなみにガソリン燃料はレギュラーです。
全長4770、全幅1790、全高1780、重量1860kg。最小回転半径5.6m。
トヨタの人は、「こんなクルマが欲しいという夢を実現するために、新しいハイブリッド・システムや、数々の新機構を導入し、その性能を画期的に向上させた」とアピール。主なポイントは以下のとおり。
1、環境性能の革新。超-低排出ガス基準を達成。満タン70リッターでおよそ1,100キロ走る経済性。
2、走行性能の革新。新しいハイブリッド・システムTHS-C。世界初電気式4WDシステムE-Four。電気制御ブレーキシステムECBなどにより、安定感の高い走
りを実現。
3、クルマの使い方と楽しさの革新。発電能力を利用した新しい需要の開拓。最大1500Wの電力供給が可能。ちなみに通常のクルマは100W程度。移動体の中で大きな電力が得られることは、福祉や救急医療、災害地活動などの分野で大きな可能性が生まれている。
今回のハイブリッドがスゴイところは、大電力供給もさることながら、モーターを2つ積んでいること。一つのクルマに動力源が3つあり、これを制御する技術がじつに見事
です。
そして三本さんが絶賛することは、世界初の電気式4WDシステムE-Four。フロントモーターが前輪を駆動し、リアモーターが後輪を駆動させる。
「この4WD車には長く重たいドライブシャフトがない。モーターはエンジンと違って緻密な制御が出来るから、たとえばタイヤを左右で正、反回転させて、クルマの方向を変えることだって可能だろう」と三本さん。
走行状況に合わせて最も効率の良い走り方を選ぶこと。超低燃費・超低排出ガスをねらったハイテク四輪駆動車。
トヨタの人は「エンジンがすべてを担うことは効率的とはいえない。エンジンが得意とするフェーズもあれば、モーターが得意なフェーズもある。それぞれを上手く組み合わせることで理想的なクルマになるのではないか」と言います。
第3のユニット、2.4リッターガソリンエンジン。スペック的に非力な印象ですが、トヨタの人は「燃費指向にチューニングしている。エンジンが担うフェーズは限定できるから、その性能さえ満たせばいい」とのこと。
見た目はフツー。でも中身はすごいミニバンに三本さんが試乗します。ちなみに三本さんは以前、初代プリウスをプライベートで所有されていました。
クルマとしてはエスティマそのもの。ハイブリッドシステム搭載による重量増は、約110kg。
装着されているタイヤが燃費重視のエコタイヤで、空気圧が高いのかゴツゴツした乗り味を感じたようです。
「タイヤ以外では、ハイブリッドということでネガティブ(不満)に感じることは全くない。こういうクルマが増えてくれることはありがたい」と三本さん。
大人スタッフ5人乗車の箱根の山坂道。エアコン全快。「力強い走りだ。そして静かだ」とのこと。
エスティマハイブリッドの走行パターンについて要約すると以下のとおり。
1、停車中はエンジンを停止。アクセルを踏み込むとモーターで発進します。このとき前後のモーターが駆動し4WD状態。低速走行時はエンジンの効率が低いということで、このような制御になるそうです。
2、通常走行時はエンジンで走行。フロントモーターは発電機としてバッテリーへ充電。そして雪道などで前輪のスリップを感知した場合はリヤモーターを駆動し、安定した走行をサポート。
3、全開加速または高速走行時は、エンジンに加えてフロントモーターが補助動力として作動。状況に応じてリヤモーターも同時にアシスト。
いずれの場合も、ブレーキを踏んだりアクセルを緩めるとすぐにモーターが自動的に回生発電を行い、バッテリーへ貯金。
その状況はインパネ中央に設置された、マルチインフォメーションディスプレイに表示される「エネルギーモニター図」でリアルに確認できます。
「今システムがどんな走行状態なのか、べつに気にならない」と三本さん。完成度の高さを実感した発言。
ブルーのグラデーションが美しい?オプティカルメーター。イグニションをオンにすると文字盤の下からゆっくりと青い照明が点灯していく演出で、夜明けをイメージしたといいます。
燃料を食わない電動パワーステアリング。ステアリングは軽いフィーリング。
リファインされたというエクステリア。でも私にはその違いがわかりませんでした。
従来装備も見劣りしません。ABS、ブレーキアシスト、VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)、TRC(トラクションコントロール)、チャイルドシートはISOFIX対応。オプションで自動料金収受システムETCユニット。
エスティマハイブリッドには全部で4車種がラインナップされ、7人乗り、8人乗りで選べます。価格は338万円から。
フツーのエスティマ4WDの2.4リッターモデルと比べた場合、その価格差は50万高。3リッターモデルと比べると25万円高。カーナビだってこのくらいしますから、かなりお買い得ではないでしょうか。
報道によると、発売から約1ヶ月で約4000台を受注。これは月販目標の4倍、納車は約4ヶ月待ち。顧客層は30~50代が中心で、全体の約20%は官公庁を含む法人顧客のようです。
「モーターのほうが緻密に制御できる」
三本さんが言ったことが印象的でした。将来は4輪それぞれに付いたモーターでタイヤを回すのかもしれません。
ボンネットの中身は、時にガソリンエンジン、時にディーゼルエンジン、そして何十年か後にはクリーンな燃料から電力を取り出す新しいユニットが鎮座することでしょう。
まだ課題が多い新しいユニットの出現を待つまでもなく、次世代カーの基礎的な制御技術はすでに高いレベルで実現しているようです。今、行われている技術革新や取り組みに対して我々は評価しなければなりません。
環境問題を克服しなければ、自由で楽しい大好きなクルマという乗り物は衰退してしまう。今世紀の終わりに歴史を振り返ったとき、クルマの歴史が繁栄の歴史であったことを願うばかりです。
(妄想)暑い・・。暑すぎます。三清さんもバテぎみ。私もドライブするのがおっくう。ステアリングを握る手がアッチ~です。
少しでも涼しいところヘ避難するしかない。美白に命かけている三清さんも、太陽光線から避けたい様子だし。
定番ドライブの軽井沢へ。プリンスのそばにあるアウトレットモールで涼しく過ごします。
上信越道の坂道を力強く走りきったエスティマ。湿気の少ない軽井沢の空気を深呼吸したとき、この自然を守ることに少しだけ加勢したような気分になりました。
★次週の予定
三菱・エアトレック