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『TVKテレビの 「新車情報’99」 を斬る!』
Vol.45 (1999/8/11) 毎週発行
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★8月9日放映
【ジャガー・Sタイプ】
英国の名門。庶民には縁がないような貴族っぽいクルマ。ジャガーに対する私のイメージはそんな印象です。しかしゲストの正規代理店の人は、「ジャガーワールドへ誘い、より多くの人に乗ってもらいたい。ジャガーの実力を正しく理解してもらいたい」そして「それがSタイプに課せられた使命でもある」と、新生ジャガーの気合と開拓精神をヒシヒシと感じました。庶民の番組、新車情報にとってもジャガー初登場です。
Sタイプのオフィシャル・ページを見たい方はこちら
http://www.jaguar.com/jp/
をご覧ください。
基本スペックは、3リッター、V6、DOHC、243ps、トルクは31Kg。燃費は10・15モードで7.2Km/Lと公表されています。価格は578万円です。試乗した内装豪華バージョンのスペシャルエクイブメントは640万円です。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、8.4Km/Lでした。10・15モードよりいい結果です。時速100Km走行時の騒音は63~64dBでした。
Sタイプはこの他に4リッターV8があり、価格は763万円です。つまりエンジンは2本立て、車種は3種類です。
Sタイプとは1950年代~60年代にヒットしたモデル名に由来しているそうで、ジャガーシリーズのミディアムクラスに位置づけられます。価格的にもシリーズ中、最も安いプライスになります。
ジャガーがフォードグループの一員となってちょうど10年。このSタイプはフォードと初の共同開発車だそうです。
小さなジャガーといっても全長4880mm、全幅1820mmとデカイです。パンダ顔の独特なフロントデザイン。その割りにリアが普通っぽいというか、フロント負けしているように感じました。
正規代理店の人はハッキリこう言い切りました。「美しくなければジャガーではない。造形が何よりも優先される。ジャガーはこれからもそうあり続けると思う」
さすがの三本さんもルックス優先の貴族に、庶民が何を言ってもダメだろうと反論もありません。たとえば、デザインの為ならトランクの容量なんてどうでもいいというクルマ造りをしてきたジャガーを評価するには、視点や価値観を変えて見ていかないとならない気がしました。
XJシリーズの廉価版ではない、というSシリーズ。高速道路での直進安定性は抜群のようです。時速100キロのときのエンジン回転数は約1900回転。急な車線変更では、しっとりとした動きの中に機敏さがあるというのでしょうか、高級車のならではの安定感のある挙動だと思いました。
山坂道ではタップリしたトルクであまり変速しない、と快適な様子です。今までのジャガーにくらべたら固い足回りとのことです。ただフットレストが無いようで、あったほうがいいんじゃないか、と山坂道を攻めながら言っていました。
エンジンはブロックなどベースはフォード製ですが、コスワースの技術でジャガー風のチューニングが施されているとのこと。メンテナンスフリーをモットーとし、定期点検さえ行っていれば特に問題なし、とのことです。
電装に到っては日本のデンソー製のパーツを多様しているとのことで、電気系統に弱かったというジャガー伝説は過去のお話のようです。
室内は豪華そのもの。これでも随分シンプルになったようですが、明るい色の本皮シートや随所に飾られた木目パネルの色使いは、他のヨーロッパ車にはない独自の文化を感じます。ちなみにスタジオへ持ち込まれた578万円のほうは皮シートではありません。
木目「調」ではなく本物の木目。素材はカエデを使用し、助手席から運転席へ長くつながるインパネの木目パネルは一枚物です。
タマゴのような形のウッドのATセレクターシフトノブ。ジャガーおきまり?なのか、J型のシフトパターンでマニュアルのような操作もできますが、パターンストロークが大きく古風な感じもします。
XJはお尻を絞り込むデザインのためにトランクはそれほど大きくないとのことですが、Sタイプは普通?です。しかもセカンドシートが前に倒れトランクスルーになり、その気になればスキー板なんかも収納できます。このような機能的な配慮もジャガー初の試みとのことです。
このSタイプ、6月から販売しており7月までで約650台の受注を受けたとのことです。
さて最近では、紫外線は百害あって一理なしとのことで、ガングロ女子高生は別にして肌は焼かないほうが流行ってるらしいですが、三清さんも美白美人です。
三本さんはイギリスでこのジャガーを転がす優雅さ、みたいなことを語ってくれましたが、それを聞いた三清さん、「イギリスで運転してみた~い」とのこと。
英国の豊かな田園風景をジャガーがゆく。こういうシチュエーションがあってこそジャガーの価値が生まれるのでしょう。それを知らない人にはきっとジャガーを魅力はわからないだろうし、ジャガーを批評することはできないのかもしれません。
しかし2年後には、Sタイプより更にコンパクトなジャガーを登場させる予定だそうで、新生ジャガーは今後、幅広い層の人たちから注目されそうです。
★次週の予定
スズキ・ワゴンR+(プラス)