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『TVKテレビの 「新車情報2001」を斬る!』
Vol.137 (2001/5/20) 毎週発行
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★5月14日放映
【トヨタ・WiLL VS】
トヨタ異業種プロジェクト「WiLL」第2弾。第1弾のWiLL Viでは「カタカナ職業の女性」がターゲットでしたが、今回のVSは20~30代の男性がターゲットで、そのキーワードは「クール・スマート」です。
オフィシャル・ページはこちら
http://www.will-vs.com/
基本スペックは、直列4気筒、DOHC、1.8リッター、136ps、トルクは17.4kg。燃費は10・15モードで15.0km/Lと公表されています。国土交通省の排ガス認定は☆。価格は175万円。
試乗車は、直列4気筒、DOHC、同じく1.8リッター、190ps、トルクは18.4kg。燃費は10・15モードで12.0km/Lと公表されています。国土交通省の排ガス認定は☆。価格は205万円。
三本さん達のロケの満タン法で計測された燃費は、11.8km/Lでした。時速100km走行時の騒音は65~66dBでした。
全長4385、全幅1720、全高1430、重量1140kg(試乗車は1190kg)。
プロジェクト「WiLL」について、三本さんはしきりに質問していました。「一体アナタ達は何なの?」
VVC(バーチャル・ベンチャー・カンパニー)と呼ばれ、トヨタの中に設置されたあくまでバーチャルな会社。
VVCのメンバーは26名で基本的にトヨタの社員。そこが中心となって社外の様々な異業種の人達と連携し、時代を敏感にとらえた商品の企画・立案を行っているようです。クルマに限らずあらゆる商品が対象で、家電とかいろいろな「WiLL」商品があるようです。
とにかくド肝を抜く奇抜なエクステリアのWiLL VS。
「ニュー・ジェネレーション層をターゲットする、既成概念を打ち壊す大胆なスタイリング」とし、「従来のクーペ、ワゴン、セダンといったカテゴリーに当てはまらない、理屈抜きでかっこいいスタイルを目指した」とトヨタの人。
このクルマは「デザインありき」でつくられたようです。その後、トヨタの安全基準やクルマとしての使い勝手をデザインと妥協しながら完成させた、そんな感じ。
デザインそのものは、トヨタのグループ企業である関東自動車工業に在籍する29才の男性デザイナーによって描かれたそうです。
三本さんが試乗していると、やはり違和感がありました。雨が降る東名高速道路を箱根へ向かうVS。
見慣れないダーク・パープルのボディカラー。クルマを前から見て、そして後ろから見て、中央でV字型を印象付けるデザイン。
V字型デザインは室内でも統一されていて、インパネ中央より外側へ広がるインテリア。
三本さんもコメントしていましたが、通常ならインパネはドライバーを包み込むように内側に反っているのに、VSは外側に広がるという不思議な空間。
シフトノブは飛行機のスロットルレバーみたい。センターコンソールにはアルミパネルを使うなど、質感にこだわった内装。
メーター類も航空機をモチーフにしたというコンビネーションランプ。「ゼロ」の位置が真下を向いてます。一昔前のレーサーレプリカもどきのバイクによく見た気がする。
それ自体は問題ないようですが、三本さんがこのコンビネーションランプを見た瞬間、怒りのサンドバックが炸裂したことは、色が「真っ赤」のこと。
「見づらい!赤はダメダメダメダメ。白地に黒、もしくは黒字に白」。第一印象から違和感を感じている三本さん。今週はいきなり先行き暗いデス。
足回りが「かたい」ようです。高速道路のつなぎ目をドスンドスンと乗り越え、それがダイレクトに三本さんの巨体を突き上げる。
ベースはランクスだそうです。しかしサスペンションの設定が全然異なり、山坂道でも「ゴツツキ感」が気になる様子。
乗りごこちはハッキリ言って悪いようでした。まあ乗り味の善し悪しは人それぞれですので、購入を検討される方はぜひ試乗を。
190psのハイパワー・エンジンはセリカに採用されているものと同じ。これは経済性とファンを両立させたすばらしいユニット。
ハンドルはそれなりに手応えがあるようです。「トヨタ車の中では重たいほうだ」とのこと。
シートがまた変わっている。三本語録が今回聞き取れなかったのですが、「観音様」の後ろにある盾(入れ物?)みたいだ、といった内容(無知ですみません)。
観音様の盾とは、真っ黒な色をした一体成形タイプのシート。座りごこちについては特にツッコンでいませんでした。
前に座っている分にはいいのですが後部座席に乗ると、その真っ黒な盾がドンドンと目の前に鎮座し、前方視界をさえぎります。目隠しされてどこかへ連れて行かれる心境になるかも。「後席のカメラマンが画像を撮るのに困っている」と言っていました。
室内の配色は真っ黒。ボッタクリの店でもこんなには暗くないというくらいダーク基調で統一。
トヨタの人のスーツ、シャツ、ネクタイとも真っ黒で統一されていました。
ボディーカラーは5色で、どれもダーク系。シルバーがあって唯一それが明るい系。
残念ながら今回のVSは三本さんの波長にぜんぜん合わなかった模様。いわゆるバット・チューニング状態。
「このクルマでないとならない理由がない」とのこと。百歩ゆずって「変わったものが好きな人にはいいかもしれません」とのことでした。
最後まで「ゴツゴツした乗りごこちは、なんとかならないか」とツッコンでいました。
三本さんが唯一ほめた点があって、それはATが今何速に入っているかインパネ上に表示されること。これは以前から三本さんが要望していること。ステアリングのボタン操作でシフトチェンジができるシフトマチックと併せて、効果的なドライブができたようです。
スタジオ恒例&大好評、スカートファッションによる野中さんのシートチェック。助手席と後部座席をチェックしてくれました。スカートでも乗り降りに問題ありません。これならデート・カーとして十分使えます。
しかも後部座席は意外と広いです。昔のかっこいいクルマといえば2ドアクーペ。後席はチャイルドシートが標準装備といった感じでした。
VSは、いわゆる5ドアハッチバックですので、十分なユーティリティ・スペースを持っています。
しかし後席の窓がチョー小さい。野中さんの小さな顔くらい。このちっこい窓も一人前に電動で開閉するのだろうか。
三本さんがラゲージを見るためにリアハッチを上に開けるまで、この部分が開くとは思えませんでした。
荷室は広く、実用性に問題ないと思われます。さらに後席を前に倒すと、奥行き170センチくらいのフラットな空間が生まれます。
私的にはまだ実車を見た事がありませんので何とも言えませんが、クルマとしての基本性能はしっかり持っているようです。
トヨタ車ですからクオリティの面も問題なし(決めつけてる?)。価格も抑えられて、それなりのバリューも感じるし、そんなに悪いクルマではないと思いました。
あとはこの外見や内装が自分にジャスト・ミートするかどうか。たとえばコーラをよりもドクターペッパーが好き、という人に向いているかも(意味不明?)。
VSの目標販売台数は1500台/月。日本国内のみで輸出予定なし。日本だけというあたりウサン臭い気もしますが、安全性はトヨタ基準=世界基準ですので問題ないと思われます。
三本さんいわく「食いかけのリンゴ」ことWiLL Viの昨年末までの通算販売実績は1万2千台。男性版の第2弾はどう評価されるか注目していきたいです。
最後に、バンパーへ三本さんの平手打ちが炸裂。スタジオに響きわたるハタキ音。「これはなんですか?バンパーですかこれは?こんなものバンパーじゃない!」
三本さん、それはキビシイっす。このクルマはデザインありきで生まれたクルマ。みんなのド肝を抜く目的のクルマ。バンパーが屋根に付いていたとしても大目に見てやってください。
時代とともに目立ちかたも変わってきます。永田町も変人の時代。パソコンもNECよりバイオが売れる時代。こういうクルマもいいんじゃないでしょうか。
(妄想)スタジオではダーク・パープルのボディカラーが、時折キリッとする野中さんの横顔を引き立てていました。もちろん三清さんだって負けてません。
観音様シートに座る三清さん。そのダークで不思議な空間が、三清さんのアダルティな魅力をよりアップさせる。
三本さんが大嫌いなインパネの真っ赤な照明。シルバーのピアスをした三清さんの耳元が赤く光った。
夜更けの湾岸道路。このまま三清さんとイッてしまいたい、そんな気分にさせるVSでした。
★次週の予定
ホンダ・インスパイヤ/セイバー